2011年5月25日水曜日

ラッパ小僧の夢想

マイルス・デイビス・・・いゃ~、偉大なるジャズ・トランペッター。かっこいいんですよね。あこがれますよね。特に自分が高校生の頃、70年代前半、マイルスが長い雲隠れ生活に入る直前、電気楽器を大胆に取り入れ、もうほとんどロックに近い演奏で、75年の日本公演はアガルタ、パンゲアという2組のライブに凝縮されています。

こうなると、そろそろジャズに傾き始めていた高校生としてはトランペットなるものを吹いてみたいと思うわけです。ところが、ここでも、やっぱり問題がいろいろでてくるわけです。

ギターとかに比べて、とにかく楽器の値段が高い。ふつうにパーパー吹く機会があるわけもなく、そんな高い物を買うわけにはいかない。その頃にラッツ&スターがデヴューしていればよかったかもしれませんが、当時は谷啓はトロンボーンだったし、ぎりぎりタモリはまだいなかった。

もちろん音の大きさもかなりのもので、思いっきり吹ききったときのトランペットの音たるやすさまじい物です。当然、家のなが好きなだけ練習というわけにはいきません。近所に河原とかあれば、多少恥ずかしいのを我慢して外で練習ということもできますがね。

そんなところに、高校生の同級生でサックスを吹く奴がいて、トランペットも持っているという。けっこう金持ちなんでしょうかね。しかも、トランペットはもういらないから、ほしい奴がいたら譲るというのです。

確か1万円で、思わず買い取りました。とはいっても、1万円というのはふだん小遣いではなかなか出せる物ではなく、虎の子のお年玉を放出したと思います。それはともかく、なんでも10万円くらいするらしい(?)トランペットを手に入れたのはいいのですが、まったく音の出し方がわからない。

なんとなく、マウスピースに向かって息を吹き込んでみても、唾液が漏れ出てくるばかり。しかし、ある時開眼したんです。唇を震わすとか、小難しいことを考えずに「ブゥ~」と言えばいいんです。ブゥと言えば、バァと鳴る。ブゥ~と言えば、バァ~と響く。

なるほど、そういうことかと。それじゃドレミにいこうと思って、またもや困惑した。だって、トランペットのピストンは3つしかない。進軍ラッパにはピストンすらない。どうやって音階を出すんだろう。

しょうがないので、トランペットの基本みたいな本を買ってきて、いろいろなピストンの押し方の組み合わせで、いろいろな音階が出せることがわかって練習をはじめたんですが、ちょっとやるとすぐに親からうるさいと怒られ、いっこうに進歩しない。

で、結局、さらに欲しいという奴が見つかったのでドレミもできないままに、1万円で売り払い、結局プラマイゼロということで、めでたくチャンチャンということになったわけです。