マンデイ・ミチルさん・・・と、言っても知っている人なんてそうそういないんじゃないかと。
日本の戦後ジャズ復興の大きな力となり、渡米して自身のビッグ・バンドを率いてアメリカ中、いや世界中でも有数のミュージシャンとして成功した、そうあの秋吉俊子さんのお嬢さんなんです。
もともとチャーリー・マリアーノというサックス奏者と結婚して生まれたのがミチルで、秋吉俊子はその後ルー・タバキンと再婚。タバキンとの関係の方が、より有名ですから、たぶん実施的にミチルもお父さんというのはタバキンかもしれません。
トシコ=タバキン・ビッグバンドの''Insight"というアルバムのなかに「墨絵」という曲があって、これは水俣病の悲惨さを織り込んだ和風テイストの曲。出だしから女の子が、童謡のような、遊び歌のようなメロディで歌います。
村あり その名を 水俣という・・・
和楽器なども登場し、レコード(当時)の片面全部を使って、切々と水俣の光景を歌い上げていく。これはなかなかの聴き応えのある曲で、これから秋吉俊子が好きになったかもしれません。
この歌を歌っていたのが、当時まだ小学生だったミチルで、伸びやかな声が曲の雰囲気をうまく作り出す決定的な要素になっていました。
結局、ミチルはジャズ歌手になって、それなりに知る人ぞ知るという感じで活躍を続けているわけで、実際それほど聴いたことがあるわけではないのですが、忘れられない名前の一つとしていまだに記憶にとどめているのです。