2022年7月20日水曜日

俳句の勉強 7 省略

俳句の作法として、いかにうまいこと言葉を省略するかというのも大事なポイント。

まず一般に言われているのは、作者の気持ち、感情を直接あらわす言葉を入れないということ。読み手が、その気持ちを読み取れるように作るのが良作とされます。

「桜がきれいに咲いた」と書くと、きれいという作者の感情は引っ込めて「桜が咲いた」だけで十分。普通は、誰もがきれいなんだろうという情景を想像します。

当たり前のこともわざわざ書きません。基本的に雪は白いので「白い雪」と書く必要はなく、単に「雪」だけで伝わります。同じようなことですが、「~のような」という表現もいらない。「ガラスのような水面」と書かなくても、「ガラスの水面」で通用します。

最後が動詞も省略可能。「買い物に行く」としなくても、「買い物に」あるいは「買い物」だけでも、その後どうなるかは想像しやすく、読者の自由な余地が残ります。


夏の海傘の波間に子を探す

続けて、季語「夏の海」を用いて作りました。盛夏の海水浴場は人込みでごった返しているもので、砂浜はたくさんのビーチパラソルが開いています。こどもを連れて出かけた時、ちょっと目を離した時こどもが迷子になってしまいました。うちの子はどこだと目を凝らすのですが、パラソルが邪魔してなかなか探せなったという状況。

相変わらず、ちょっとよさげと思っても、勉強するといろいろ問題点が気になりだします。海の波じゃなくて、砂浜のたくさんのパラソルを波に見立てた所はちょっと気に入っています。本当は見てもなかなかわからないので、どこかで泣いている声はしていないかと詠みたかったんですが言葉が思いつきません。

「探す」で動詞で終わっているので、かなり内容がはっきりと語られていて、読み手が想像する必要が無くなってしまいました。いろいろ考えた結果が次のようになりました。

夏の海泣く子澄ませば傘の波

どうでしょうか。泣いている子がいないか(耳を)澄ましているけど、(邪魔な)傘の波ばかりだという感じで、海の波音と相まって聴覚と視覚に訴える感じになったような気がします。