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2022年7月22日金曜日

俳句の勉強 9 似てる季語

歳時記を眺めていると、似たような意味合いの季語はけっこうあって、読み方を変えただけとか、ちょっと語尻が違うだけなら傍題としてひとくくりにします。しかし、ほとんど同じような状況にもかかわらず、微妙にニュアンスが違う場合は、見出し季語としては別の物。

例えば真夏の太陽が照り付ける状況を表現する「炎天(えんてん)」に、じっとりと汗ばむ感じが加わわると「油照(あぶらでり)」、特に焼けつく昼に限ると「炎昼(えんちゅう)」です。他にも暑さを表す季語としては「炎暑(えんしょ)」、「酷暑」、「猛暑」、「劫暑(ごうしょ)」などもある。

夏至の時に一番昼が長く夜が短くなるのですが、春の側から表現すると「日永(ひなが)」で、夏の側からだと「短夜(みじかよ、たんや)」となり、夜が早くに明けることに重点を置いたのが「明易(あけやす)」です。日本ではありませんが、太陽が没しないため夜の時間になっても明るいままなのが「白夜(はくや、びゃくや)」です。

立秋間近になると、実際にはまだまだ暑い日が続くわけで、秋と言われても実感が湧きません。とは言え、そろそろ夏の終わりが近づいてきた、もう少し辛抱だと期待感がにじむのが「夏の果(なつのはて)」という季語。入道雲が姿を消し鱗雲が見えたり、蝉の鳴き声か減ったり、その声がアブラゼミからつくつく法師に変わってくると、直接的に秋の気配を感じることになり「秋近し」を使ったりします。


ちょっと安直に例句を作ってみました。秋の魚と言えば秋刀魚(サンマ)ですが、先日、初物のセリがニュースになっていて、数十匹しか水揚げされなかったそうで、なんと値段は1尾1万円!!

夏の果手が出ぬ細身の高級魚

秋近し手が出ぬ細身の高級魚

秋刀魚としてしまうと秋の季語になってしまうので、「細身の」として、超高値で庶民が食べれる魚じゃないということで「高級魚」扱いです。

同じ意味を持つ季語を変えただけですが、何となく受ける印象が変わってきます。「夏の果」を使うと、もうすぐ秋だというけど、秋刀魚を食べれるのはまだまだ先のことだみたいなガッカリ感があって、とても高くて手が出せない雰囲気とマッチする感じです。

一方、「秋近し」を使うと雰囲気は楽観的になって、「手が出ぬ」という否定的な表現とは相性が悪そうな印象です。

秋近しいつかは細身の高級魚

とすると、秋への期待感と食べたいなという食への希望が合致しそうです。ただ、どうひねくり回しても、俳句としてはたいしたもんじゃない。どっちかと言えば川柳に近いですかね。