2022年9月5日月曜日

俳句の勉強 31 芸術で苦心

俳句が上手になるためには、やはり他人からの評価というものが必要。自分だけで満足してもいいんですけど、それじゃあできた俳句が良い物なのか悪い物なのか、いつまでもわからない。

そこで、夏井いつき氏を頼りにしているわけで、夏井氏は結社に入らず、持たず、独自の「俳句集団」と呼ぶ垣根の低いグループを作って活動しています。インターネットを活用した、自由な投句できる環境は大変ありがたい。

他にはテレビ番組として「NHK俳句」があります。よく名前を聞く俳人の先生方が登場して、いろいろな解説をしてくれるので楽しめます。投句は無料、インターネットが使えますが、取り上げてもらえる確率はかなり低そうです。

でも、これにも挑戦してみる価値があります。そこで、比較的若手の堀本裕樹さんの兼題に挑戦します。兼題というとたいてい季語なので、そのまま使うのが基本。堀本さんの兼題はちょっと変わっていて、テーマが出されます。今回、出されたのは「芸術」です。

芸術というと、絵画、音楽、文学、芝居、映画、舞踏・・・いゃあ、いろいろありますよね。こういう場合が、けっこう大変。何をメインにするかで、出来やすさ、その内容はいろいろです。

さてさて、芸術の中で自分の得意分野と言うと、音楽か映画かなぁ。でも、映画はおウチでビデオ派なので、あまりネタになりそうもない。音楽も同じで、自分で演奏するわけじゃありません。もっとも、それを言い出したらどれでも一緒。

そこで、一番俳句になりそうなのは・・・絵画。誰でも知っていそうなのは、いわゆる印象派、代表的な画家は日本でも人気のあるルノアールでしょうか。ルノアールは、秋の代表的な花である菊を何点か描いています。

File:Pierre-Auguste Renoir - Bouquet de Chrysanthèmes.jpg

花瓶あふれるルノアルや秋の色

花瓶からあふれんばかりの菊が見事で、まさに季語である「秋の色」を象徴する空気感を醸し出しています。「秋の色」を上句に用いると、いきなり抽象的で映像が浮かんでこないため、季語としての力が弱まってしまうと思い、下句に使いました。

ルノアールは、「ルノアル」と使う例があり、文字数を節約できます。問題は、7-5-5という非定型、上中が句またがりになってしまっているところ。

ルノアルや花瓶あふれる秋の色

順番を入れ替えると定型に収まりますが、ルノアルから始めて「や」で切ると、すぐに想像するのは、どちらかというと人物画ではないかと思います。そして季語の「秋の色」も弱くなりそうなので、どうもピンとこない。

ルノアルの花瓶あふれる秋の色

「や」を「の」に代えただけですが、これだと「ルノアールの何だろう?」と中句に期待をつなぐ感じで、切れは弱くなりますが一物仕立てとしての連続性が強くなるように思います。

最初のは、思った通りの言葉を順番に並べたわけですが、花瓶からあふれているのがルノアールになっている感じ。推敲後は秋の色があふれているので、まさに「絵を見て一句」になっている感じです。やはり句またがりは、どうしても必然性があると確信できる場合以外では避けた方が良いということになりそうです。