おいおい、もうクリスマスかとお思いでしょうが、あらかじめ発表されている俳句の兼題は、募集されてから1~2か月先に選が発表されますのでしょうがない。
さて、「クリスマス」という季語は、仲冬の行事として位置づけられています。当然、クリスマスはキリスト教のイベントで、12月25日のイエス・キリストの誕生日のこと。基本的に、この日は静かに祈りを捧げる日であって、喜びを表すのは前日の夜、つまり12月24日のクリスマス・イブです。
傍題としてはそのものを言い換えた「降誕祭」、「聖誕祭」、「聖夜」はもとより、「聖樹(クリスマス・ツリー)」、「聖菓(クリスマス・ケーキ)」、「クリスマス・カード」、「クリスマス・キャロル」なども使われます。
それにしても、クリスマスというのも、キリスト教徒でないと関わり方は皆同じで、そこから想像できることと言えば百人が百人同じものに偏りそうです。
なんと、正岡子規にもいくつか見つかります。子規の時代は、今ほどのイベント性は無かったことでしょうから、キリスト教の家のおごそかな祈りの情景が見えて来そうです。
八人の子供むつましクリスマス 正岡子規
子供がちにクリスマスの人集ひけり 正岡子規
ロンドン滞在中の夏目漱石が、子規に送ったクリスマス・カードに添えられた一句もあります。
柊を幸多かれと飾りけり 夏目漱石
現代人代表として一句。
犬の脚人間の脚クリスマス 神野紗希
犬と人間が歩調を合わせて散歩している図でしょうか。何となく軽やかなリズムが感じられます。おそらく作者は、鈴の音と伴に鹿とサンタクロースがやって来るイメージを重ねているのでしょう。
クリスマスと来れば雪。そし恋人たち。そんなロマンあふれる経験が無いので、どちらかというと、サンタクロース、プレゼント、ケーキ、御馳走といった現実的なことばかりを想像してしまいます。
薄目開けサンタを知るやクリスマス
イブの夜は、こどもが寝たのを確認して、そっと枕元に用意しておいたプレゼントを置くという経験は、親なら誰しもしていると思いますが、こどもたちはいつのまにかプレゼントをくれていたのがサンタさんではないことを知ります。もしかしたら、薄めを開けて寝たふりをしていたのかもしれません。
髭達磨白に塗り替えクリスマス
サンタクロースと言えば、でっぷりとした体格で真っ赤な服と帽子を着て長く伸びた白い髭というのがお決まりのいで立ち。でも、ある時はたと気が付いた。そこらに飾ってある赤い達磨の人形が何か雰囲気がサンタさんに似ています。黒く書かれた髭を白く塗り直せば、和風サンタになるかもしれません。
今年からケーキ二切れ聖夜かな
こどもたちがいると、にぎやかなイブの晩餐があって、大きなホールのケーキを用意したりしたものです。こどもたちが巣立ってしまうと、いつもの夕食と変わりありません。せめて、コンビニで小さなケーキを二つ用意するくらいで終わってしまいます。