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2022年10月12日水曜日

俳句の勉強 50 月百句 #87~#100


夏井いつき氏からの宿題、月に関連した季語を使って百句作れという初心者には荷が重いチャレンジですが、ついにラスト・スパートです。では、早速。

#87 月の都に居並ぶ緒尊多し

#88 此の夜に月宮殿の迦具夜かな

「月の都」と「月宮殿」は同じことで、インド神話で月を神格化した月天子(がってんし)が住んでいるところのこと。当然、その周りには緒尊が集まってきていることだと思います。日本最古の物語といわれている「竹取物語」では、かぐや姫は「月の都」からやってきたとされています。

次は「心の月」は曇りの無い清らかな心のことで、悟りの心を意味します。ダイエット中なんですが、心の月には無理しないで食べたいものを食べた方が良いという気持ちが丸見えです。

#89 痩せ我慢心の月に透けて見え

「真如(しんにょ)の月」も同じようなことですが、煩悩に煩わされない悟りの境地の事。やはりダイエットは難しい。食べたい欲求が勝ってしまうことが多いですよね。

#90 痩せ我慢真如の月はまだ見えぬ

で、結局ダイエットに失敗すると涙がとまらずに服の袖に溜まってしまう。そんな様子が「袖の月」という季語になります。

#91 痩せ我慢乾くことなし袖の月

「島星」は月そのものの、あるいは月の光の異名。月の光があると明るい所と暗い所が分かれるので、ああここは闇なんだと気が付けるということです。

#92 島星や闇に気がつく有難味

「朝月日」は、朝日が出ている真向かいに月が沈まずに残っていること。朝日は東ですから、月は西ということになります。蕪村の有名な「菜の花や月は東に日は西に」は「朝日月」の逆で夕方の光景。ただ「夕月日」という季語は、どうも説明がわかりにくく「夕日と月が二つ並んであること」となっていて、隣同士なのか対角線にあるのかよくわからない。

#93 朝月日日の出に残る西の月

#94 夕月日逢魔ヶ時に早見ゆる

逢魔ヶが時(おうまがどき)は、夕方の黄昏時のこと。太陽が沈んで、暗くなるまでの残照によりほんのりと明るい数十分の時間帯です。映画用語では「マジックアワー」という言い方もあります。

#95 砂に書く月の出塩に消ゆる文字

「月の出塩」は、月の重力の影響で潮の満ち引きの関係で、月の出に合わせて満ちてくることです。砂に書いたラブレターは、月の出塩によって消えてしまうんですよね。

#96 今しがたまだかと尋ね月待ちぬ

「月待ち」は集まった人々が念仏を唱えながら月の出を待つ行事の総称。待ちきれない者が必ずいるもので、たった今「まだか?」と聞いたばかりなのに、何度も聞いてくるのが面倒です。

#97 静か夜に木々より漏れし月の水

「月の水」の「水(みなは)」水泡のことで、月の光を水泡に見立てた季語です。木々の間から、キラキラと漏れて見える光が、ちょうどそんな感じなのかなと思いました。

#98 首のばし照る月なみを数えけり

「照る月なみ」とは、三日月から有明月頃までの、ある程度明るさがわかる毎晩の月のこと。満月は簡単に見れますが、最初と最後は首を延ばしてよく探さないとわかりにくいですよね。

#99 眉きりりイケメンスター素月かな

「素月(そげつ)」は白く冴えわたる月のことで、一般には満月です。

#100 月乙女爪の土だけ苗立つる

「月乙女」は「早乙女」の傍題です。田植を行う女性のことで、紺の単衣に赤い帯、白い手拭をかぶり、紺の手甲脚絆、菅笠のそろいの姿で一列にならんで苗を植える様子。苗を植えた分だけ、爪の中にも土が入り込んでしまいそうです。今回の季語は三秋の季語ですが、「月乙女」だけは仲夏の季語です。

どうにかこうにか百句にたどり着きましたが、かなり苦し紛れの句ばかりで、どこかに投句してみようか思えるものは・・・まぁ、一つもありません。とにかく作ることに意義があると自分を納得させるだけ。2か月かける予定が半分でできたところだけは、頑張ったと評価しておきます。

これで、これからは「いつき組」所属と名乗れそうなので、今後は夏井いつき「先生」と呼ばせてもらうことにします。