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2022年10月13日木曜日

マイナ保険証


なかなか普及しないマイナンバーカード。国民一人一人に番号を付与して、さまざまな公共サービスの便宜をはかるというもの・・・ですが、現実には「持っていて便利」と思える機会がなかなか増えません。

最近、政府はマイナンバー・カードと健康保険証を紐づけて、保険証を2024年秋ごろに廃止する方向で検討すると発表がありました。通称「マイナ保険証」と呼ばれていますが、医療機関の側から考えると病院にも患者さんにも大きなメリットがあることだと思います。

患者さんにとっては、保険証がちょいちょい変わることがあっても、マイナ保険証ならそれを意識する必要がありません。同意していただければ、薬の履歴や検診結果なども参照できるので、診療上役に立つことが増えます。

保険証は、受診のたびに提示するのが本来のルールです。一度出したら、二度と出さなくて良い思っている方が多いのですが、月に何度も確認するのは煩雑なため、便宜上月に一度提示してくださいとお願いしている医療機関が多くなっています。

マイナンバー・カードをいつも携帯する習慣をつければ(最初は面倒かもしれませんが)、出先で緊急で受診したい場合にもあわてずにすみます。

医療機関としても、読み取り機で簡単に有効な健康保険かを確認できることは、大変助かります。正直言って、実は数カ月前に保険証が変わっていたというのはしばしばあるトラブルで、このために行う修正作業は本当に大変なんです。

さて、問題点はあるのでしょうか。よく「個人情報」が漏洩するという不安を根拠にマイナンバー制度に反対する方がいますが、自分としてはその点は心配していません。マイナンバー・カードに含まれる情報は、「マイナンバー」、「氏名」、「誕生日」、「住所・本籍」などで、これだけでは漏れたからどうということはほぼ無いといえます。

例えばマイナンバーがわかっても、保険組合との間の通信には固有の登録、特殊なハード、専用回線での接続が必要なので、そう簡単に第三者が利用できるものではありません。もっとも、それができるくらいの技術がある者なら、そんなまどろっこしいことはしなくてもどんな情報でも盗み放題でしょうけどね。

現実に情報漏洩を心配する方は、すでにいろいろな電子マネーや通販サイトにそれ以上の漏れたら危険な情報を登録していることと思います。もちろん、保険組合から「個人情報」が漏洩する危険はありますが、マイナ保険証になったからそのリスクが増えるとは考えられません。

マンナンバー制度で、一番問題と考えられるのは、初回登録の面倒はしょうがいないとしても、更新時の手続きの煩雑さです。5年に一度、更新しないといけないのはわかりますが、そのために平日に役所に出向くのは難しい人が多いと思います。また2種類のパスワードも5年ぶりでは、「何だっけ」となりやすい。

24時間受付可能なATMのような機械があちこちに設置してあれば、かなり気楽に更新できるので助かりますが、政府も義務化するならそこらの部分をしっかり検討しないと反対ばかりされそうです。

また、高齢者、特に認知症がある方などの登録・更新をどうするのかも問題です。ある一定条件を満たせば更新は不要にするとか、法的なキーパーソンを決定して代行できるようにするなどの配慮が必要そうです。

うちのクリニックでは1月からマイナ保険証リーダーを設置していますが、ほとんど使われたことがありません。また使っても、まだ対応できていない保険組合が多すぎて、実用性にはほど遠い印象があります。

それなのに10月から医療機関は設置が義務化したのですが、ハードだけあってソフトが無いんじゃわけがわからない。ちなみに10月になって、マイナ保険証を利用した方は、今のところ一人だけ。ユーザーもいないとくると、そういう意味でさい先が心配ですね。