まず、このストーリーの世界観を理解しておかないと、荒唐無稽と言って終わってしまう。大事なのは、まず「図書館の自由に関する宣言」というもの。1954年に日本図書館協会で採択された実在する物で、全国の図書館に掲げられています。
1 図書館は資料収集の自由を有する
2 図書館は資料提供の自由を有する
3 図書館は利用者の秘密を守る
4 図書館はすべての検閲に反対する
図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
さて、1988年、メディアに溢れる悪意を持った公序良俗を乱す言葉の数々を規制するため、メディア良化法が制定され。良化特務機関(通称メディア良化隊)により、不適切な書物が検閲され破棄、燃やされるようになってしまいます。
1999年、メディア良化隊と関係があると推定されている謎の武装グルーブによって、日野市立図書館が急襲され、右脚を失う重傷を負った仁科以外の図書館員12名が殺害され、ほぼすべての蔵書が焼失しました。仁科(石坂浩二)は、すべての本と図書館を守るために、図書隊を組織し良化隊と対峙することになりました。
さて、これくらいの知識を整理して置いて、本編の話。2014年、高校生の笠原郁(榮倉奈々)は本屋で気に入った図書を良化隊に奪われそうになった時、図書隊の隊員の機転によって取り戻すことができます。郁はその時の図書隊員を「王子様」の呼び、2019年、自らも関東図書隊に入隊したのです。
指導教官になったのは鬼教官で知られた堂上篤(岡田准一)で、厳しい指導の元、郁は良化隊との実弾戦闘を伴う特殊部隊に配属されるのです。部隊長の玄田(橋本じゅん)、やさしい先輩の小牧(田中圭)、同期のエリートの手塚(福士蒼汰)、女子寮で同室の情報通の柴崎(栗山千明)らと、次第に信頼関係を作っていきます。
小田原私設図書館主が亡くなり、メディア良化法成立を巡る重要資料などが関東図書隊が守る武蔵野第一図書館に移管されることになりました。良化隊には不都合な資料があるため、これを奪うため図書館に攻撃を仕掛けてくるのです。
日本各地の図書館、特に新潟県の十日町情報館が主たるロケ地になっていて、広くてモダンな館内はなかなか見事です。自分の知っている図書館は、いかにも昭和の雰囲気で、隔世の差があります。
戦闘は図書隊は専守防衛に徹し、基本的に銃撃も図書館敷地内に限定され、威嚇射撃が基本。それに対して法務省管轄の良化隊は、鎮圧目的にどんどん攻め込んでくるというのですから、図書隊は圧倒的に不利な状況。このあたりはかなり絵空事感があります。
最近は本が売れなくなった時代ですから、本に対する執着はあまり伝わらないようなきがしますが、ネットに氾濫する様々なメディアに置き換えれば、ある程度世界観の理解もできるかもしれませんね。