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2023年6月22日木曜日

マスカレード・ナイト (2021)

東野圭吾原作の「マスカレード」シリーズの映画化第2弾。今回も、刑事の木村拓哉とホテルマンの長澤まさみのコンビが事件をめぐって活躍します。監督も前作に続き鈴木雅之が担当しています。


警察に匿名の密告があり、調べるとその通りに殺された死体が発見されます。ロリータ・ファッションの若い女性で、特別な装置による感電死でした。さらに、大晦日にホテル・コルテシア東京で開かれる年越しのカウント・ダウン仮装パーティに犯人が現れるという密告が続きます。 

そのため、再び刑事たちはホテルの各部署に潜入捜査を行うことになるのです。当然、新田刑事(木村拓哉)は再びフロント係。前回、新田の担当になったホテル側の山岸(長澤まさみ)は、よろず相談を一手に引き受けるコンシェルジェに昇格し、ロビーのフロントとは離れた場所にいる。かわりに新田の相手をするのは、超真面目な大ベテランの氏原(石黒賢)でした。

氏原は、新田に一切客対応をしなくて良いと厳命します。しかたがないので、新田は山岸に相談する客の内容を嗅ぎまわって、うるさがられるという感じ。ホテルに来る客は、皆ある意味「仮面」をつけているのですが、仮装パーティとなると本当に仮面をかぶっていて見分けも付けられないという困難な状況。

今回も、一癖二癖あるいろいろな客が集まってきました。女性へのプロポーズために、レストランの通り道をバラで飾るように山岸に頼み込む男性。彼はふられてしまうのですが、その直後に、今度は別の女性客との間を取り持ってくれと頼んできます。窓から見える看板の顔を見えなくしろと言う女性。夫婦で予約してやってきた女性は、いつまでたっても夫が現れず謎めいています。後生大事にゴルフ・バッグを自ら抱えた中年男性。いつもは浮気でホテルを利用しているらしい男性は、今夜は妻とこども連れ。そこに浮気相手もさりげなく登場。


警察は、パーティの券を持っている人々の素性を一人一人調べます。そんな中で所轄の能勢刑事(小日向文世)の手助けもあって、まったく同様の手口による3年前の未解決の殺人事件が発覚し、密告文の内容から密告者についても絞られてきます。新田は、密告者は殺人者を脅迫していて両者がパーティで接触すると考えました。

23時にパーティが始まり、警察が怪しい人物をマークする中、いっこうに決定的な証拠が見つからない。新田はついに賭けに出るのでした。

今回も、警察側は渡部篤郎、篠井英介、梶原善、そしてホテル側は鶴見辰吾、石橋凌。タイトルで木村とタンゴを踊るのは中村アン。登場する客は、田中みな実、沢村一樹、勝村政信、木村佳乃、麻生久美子、高岡早紀、博多華丸らの豪華なキャスティング。

今回は、警察がホテルに潜入し従業員になりきるというコンセプトはやや希薄。真偽がはっきりしない密告だけでですから、普通は、客としてパーティに紛れ込むというのが常識的な方法かと思います。従業員として動けば、確かに事前にいろいろと情報は収集しやすいものの、いざというときの制約もあります。

また山岸は前作でもフロントとしてそこまで客の頼みを聞くか、という感じだったので、わざわざコンシェルジェにする必要があるのかモヤモヤします。その分、新田との絡みも多少無理が生じているような感じ。

また、前作と違って事件の犯人がホテルの客の中にるという前提で話が進むので、それならもう少し事件そのものを丁寧に扱わないと親切ではないように思います。動機やホテル内での出来事も複雑なので、解決に向かう部分があっさりしすぎ。

まぁ、木村と長澤を見る映画と割れ切ればいいんですけどね。少なくとも、このシリーズのキムタクは従来のカッコよさとは一味違う魅力があることは間違いない。長澤も突き抜けた詐欺師と違って、きりっとした演技がなかなか見ものです。