2023年6月30日金曜日

図書館戦争 THE LAST MISSION (2015)

有川浩原作の「図書館戦争」の実写版シリーズの第3弾ですが、映画版としては2作目。一連のシリーズは、いずれも監督が佐藤信介、脚本が野木亜紀子が担当、主演も岡田准一、榮倉奈々のコンビです。

手塚慧(松坂桃李)が率いる未来企画のセミナーで感化された図書隊員が、図書館内で焚書を起こします。隊員は手塚慧の指示によって、笠原郁(榮倉奈々)を共犯と証言し査問にかけられるように仕向けます。手塚は郁を呼び出し、良化隊と図書隊の激化する戦闘の無意味を語り、図書隊が武装解除し図書館が文科省傘下に入ることが唯一の解決だと説きますが、賛成しない郁を駆け付けた堂上(岡田准一)が連れ出してしまいました。

茨城県知事から、「表現の自由」をテーマにした展覧会の開催に合わせて、関東図書隊が所有する「図書館法規要覧」の貸出が要請されます。今や一冊だけになったこの本は、図書隊設立の法的根拠であり、自由の象徴でした。図書隊は厳重管理のもと要覧を茨城県の図書館に運びますが、そこへ良化隊の大群が攻撃をしてきたのです。

館長は未来企画に洗脳され、一時預かりとなった要覧を良化隊に譲り渡すことにしていたのです。良化隊は「自分たちの本」を取り戻す名目のもと、図書隊を壊滅することが真の目的で総攻撃を仕掛け、次から次へと図書隊員は倒れていく。堂上と郁は、要覧を持って図書館を脱出し展覧会会場に街を走るのでした。

原作は比較的若年層に人気が高いようですが、映画も観客の大多数が10~20歳代でした。また、原作がある映画化作品では、しばしば原作との乖離、出演者のイメージの不一致などが評判を落とすことがあります。しかし、このシリーズに関しては、ほとんどその手の批判は見受けられません。

とにかく原作も含めて、この映画の評価は、前提となった世界観を受け入れられるか否かにかかっています。そもそも図書館員が武装して、実弾を使った戦闘をするというのは、法律論的にもかなり無理がある設定。世間が無関心だから、図書館だけでも表現の自由を守り抜くというのも、あまりに一般市民をバカにしている。

ですから、基本設定をあまり深く考えずに、そういうパラレル・ワールドの話と割り切れば、けっこう痛快なロマンス付戦闘アクション映画としてよくできているシリーズだと思います。さすがの岡田准一のアクションもたっぶり見れますし、榮倉奈々、栗山千明ら女優陣もはまっています。

一つだけ文句を言いたいのは、「LAST MISSION」としているなら、悪法たるメディア良化法の終焉を描いてほしかった。この結末なら、図書隊と良化隊の戦いはイタチごっこのままだと思います。