2023年6月27日火曜日

アイアムアヒーロー (2016)

大泉洋主演となれば、コメディ・タッチの映画かと思ったら・・・何と、ゾンビ映画。正直、苦手なジャンル。監督は佐藤信介で、多くのコミック原作の実写化で原作ファンも納得させる映画を連発している人。

この作品も、もとは花沢健吾によるマンガが原作。脚本は野木亜紀子。特殊メイクやCGを駆使して、邦画としてはかなり頑張った視覚効果が凄い・・・ですが、アメリカ映画と違ってホラー色は控えめで、ダメ人間が尊厳を取り戻すのがテーマ。

鈴木英雄(大泉洋)は売れない漫画家。何を書いても採用されず、アシスタントをして暮らしていて、一緒に暮らす恋人からも叩き出されてしまう。そんな折、世間で謎の感染による病気が急速に始まっていました。発症した人は、ゾンビ化して誰かれかまわず別の人を噛み、噛まれた人も同じ症状になるのです。

英雄はアパートに戻ると、何と恋人が発症して襲ってきました。趣味で所持していた猟銃だけを持って何とか逃げ出した英雄は、多くのゾンビ化した人々、ZQN(ゾキュン)が暴徒化して無秩序化した街の中を走り続けるのです。偶然にも高校生の比呂美(有村架純)を助け、高所なら感染しないという噂を頼りに富士山に向かいます。

しかし、その途中何と比呂美が発症する。前日、発症した赤ちゃんに噛まれていたのですが、感染力が弱く、比呂美は意識は薄れ気味でしたが何とか人間としての理性を保っていました。そして、二人は富士アウトレット・モールにたどり着きます。

モールには生き残った人々が、伊浦(吉沢悠)をリーダーとしてZQNの攻撃をかわしていました。伊浦は、英雄の猟銃を取り上げ比呂美にボウガンを撃ち込みます。看護師の小田つぐみ(長澤まさみ)は、比呂美を助け、伊浦のやり方に反発する。しかし、サンゴ(岡田義徳)が猟銃を奪い、伊浦に食料調達の先頭を命じるのです。

伊浦は地下駐車場の暗闇で姿を消し、中央指令室に入り込むと館内放送で大音量で音楽を鳴らし、その音につられてZQNたちは地下になだれ込み、英雄らの食料調達班を襲うのでした。地上でもバリケードを突破したZQNが、生き残った人々を襲い、小田は比呂美を匿い必死で無線で助けを求めるのでした。

映画化されたのは、原作のごく一部。英雄は知り合った人々と、事態の解決に向けて奔走するらしいのですが、当然原作は読んでないのでわかりません。映画では、何とかアウトレットを脱出するところまでで、英雄がヒーローとして覚醒するところまでが描かれます。

最初は「俺の名前は英雄(えいゆう)と書いてヒデオ」と自己紹介していた鈴木は、最後には「名前はヒデオ、ただのヒデオ」と言うところがポイント。最後のZQNの群衆との対決は、なかなか壮絶の一語に尽きますが、比呂美やツグミにとっては、まさに英雄がヒーローになったというところ。

撮影は韓国のアウトレット・モールで行われたそうで、さすがに日本ではこれだけの撮影は難しいというところ。CGもふんだんに使われているわけですが、かなりリアリティが感じられ、ハリウッドにも負けていません。

まぁ、ゾンビは苦手ですが、笑うところは無い大泉洋の精一杯のアクション映画ということで、続編も期待したくなる作品でした。