2023年8月20日日曜日

ウォーターボーイズ (2001)

監督の矢口史靖は、21歳から自主製作の映画作りを始めて、1993年、26歳で劇場作デヴュー。当初から脚本も自ら作りこだわりの世界を映像化していましたが、世間に名前が知れるのはこの作品が最初。

埼玉県立川越高校の水泳部が、1988年から文化祭の演目として男子シンクロナイズドスイミングの公演を行っていました。それがテレビで紹介されことが映画化のきっかけ。映画のヒットにより、2003年にはテレビドラマ化もされました。

舞台は静岡の男子校、唯野高校。水泳部は3年生の鈴木智(妻夫木聡)ただ一人で廃部寸前。そこへ新任教師として美人の佐久間恵(眞鍋かをり)が赴任し、水泳部の顧問になり部員は急増。ところが、恵が文化祭でシンクロナイズドスイミングをやると言い出したことで、鈴木以外は中途半端な元バスケ部員の佐藤勝正(玉木宏)、マッチョになりたいダンス少年の太田祐一(三浦哲郁)、泳げないことがコンプレックスのガリ勉野郎の金沢孝志(近藤公園)、女の子っぽい早乙女聖(金子貴俊)だけが残ります。

ところが、恵は妊娠が発覚してさっさと去ってしまいます。しかも、例年プールはバスケ部が釣り堀に使っていて、放流された魚を全部回収したらプールが使えることになりますが、水を抜いて魚を全滅させてしまうのです。

途方に暮れていた鈴木は、桜木女子高の空手少女、木内静子(平山綾)と予備校で知り合い一目惚れ。静子と水族館に出かけて、魚たちの動きに魅了されてしまいます。イルカの調教をしていた魚屋の磯村(竹中直人)にシンクロを教えて欲しいと頼み込みます。

しかし、磯村は水族館の雑用をさんざんやらせるだけ。ところが、魚の動きを観察し、掃除で筋力がつき、ゲーセンのダンスでリズム感を鍛えた彼らはみるみる上達していくのです。プールが使えない彼らが海で練習していると、溺れていると勘違いされニュースに流れてしまう。急に注目されることになり、部員も戻りプールも使用できることになるのです。

いよいよ明日が文化祭という時、唯野高校でボヤ騒ぎが起こり、何と消火のためプールの水の大半が使われてしまいました。同じ日に文化祭を行なう桜木女子高の計らいで、桜木女子高のプールが使えることになり、部員たちは大喜び。しかし、鈴木は静子にシンクロのことを話していなかった・・・

もう話はよく知られているので、とやかく言う必要はありません。90分という比較的短い映画ですが、必要十分な台詞と映像でスピード感重視で飽きさせません。矢口監督の笑いのセンスの良さはすでに覚醒している感じです。

1999年デヴューの妻夫木は、これが二十歳で映画初主演。同じく二十歳の玉木も映画は2作目。金子もまだまだ駆け出し。これは、シンクロの練習に時間がかかるため、人気俳優のスケジュールをおさえられなかったためで、かえって若手の未熟な活躍が素人シンクロらしい魅力になりました。一緒になって応援したくなる雰囲気が、自然に盛り上がっていきます。