2023年8月29日火曜日

ロボジー (2012)

安定したヒット作を作り続ける監督・脚本、矢口史靖によるコメディ映画。


会社の宣伝のため、弱小企業の木村電機の社長(小野武彦)は、ロボット博覧会に二足歩行できるロボットを出展すると言い出します。ところが、期間は3か月しかなく、三人の社員、小林弘樹(濱田岳)、太田浩次(チャン・カワイ)、長井信也(川島潤哉)の三人は、しかだがなくロボットの着ぐるみで誤魔化すことにします。

敬老会で腰を痛めた鈴木重光(ミッキー・カーティス)は、娘夫婦(和久井映見、田辺誠一)からもボケて来たのかと心配される始末。ボケないように少しは働いてみたらといわれ、たまたま見つけた木村電機のチラシを見て着ぐるみの中入る人の募集に応じたところ、消去法的に合格してしまいます。

博覧会では、ロボットに扮した鈴木が暴走気味になり、柱の下敷きになりそうになったロボットおたくの大学生、佐々木葉子(吉高由里子)を助けてしまいます。おかげで、メディアで注目されることになってしまいます。しかし、鈴木は周囲の人に自分が入っていたと喋りますが、ボケていると相手にしてもらえない。

あちこちからイベント出演の依頼が来てしまい、三人と鈴木はしかたがなく嘘を続けますが、次第に鈴木が増長し、やたらと金のかかる待遇を要求。その上、勝手に娘夫婦の家にまでロボットのままでかけてしまいます。葉子からは、大学でロボットができるまでの講義を依頼され、三人はむしろ学生からロボット工学の知識を吸収するのです。

葉子は木村電機の就職説明会に参加しますが、葉子が入社するとインチキがばれると思った三人は葉子に悪態をついてしまう。これが逆効果で、カチンときた葉子は調べまわってインチキに気がついてしまいます。世間でも少しづつ雲行きが怪しくなってきたため、ついに記者会見を開くことになってしまいました。

嘘から生まれる、ペテンの話ですが、そもそも無茶振りされた三人の可哀そうな状況が憎めない。鈴木のじいさんも、孫からは面倒がられ、周囲の人からはボケ扱いされていたのが、ロボットの中に入ることで「生きがい」みたいなものを見つけるのです。

悲哀を感じる年寄りをHEROに仕立て上げ、「鈴木さん、助けてください」と頼られる状況を、無理なく笑いと共に作り出す矢口監督のセンスは相変わらず冴えています。

もちろん、ちょっと冷静になれば現代の科学力ではこんなロボットは作れるはずはないとわかるんですが、もしかしたらこんなことが出来る人間臭いロボットがいたら楽しいだろうなという願望みたいなものが、この映画のナンセンスな部分を許してしまえるように思います。