東野圭吾原作の「ガリレオ・シリーズ」は、2013年に再度テレビ・ドラマとして復活しました。そしてドラマに続いてすぐにスペシャル・ドラマと映画第2作が作られました。スペシャルは「ガリレオXX」というタイトルで、主役は柴咲コウ演じる内海刑事、そして内海はここでの事件を最後に研修のため渡米します。代わって、ドラマから湯川の相棒となっているのは吉高由里子が演じる岸谷美砂です。
今作もドラマと映画は、大きく雰囲気が異なります。単なる推理ドラマではなく、犯罪に関わる人間ドラマの色彩が強く、テレビ・シリーズのファンからは物足りないという意見が聞こえそうですが、映画として見れば今作もよく出来ていると感じます。
美しい海が広がる玻璃ヶ浦。沖合の海洋資源の調査の一員としてやってきた天才物理学者、湯川学(福山雅治)は、資源開発反対の急先鋒である川畑成実(杏)と両親の川畑重治(前田吟)、川畑節子(風吹ジュン)らが営む民宿に宿泊しました。
湯川と同じ列車で、夏休みを過ごすため成美の従兄で小学生の恭平(山崎光)もやってきました。近づかれると蕁麻疹がでるほどこども苦手な湯川でしたが、物おじしない恭平には何故か平気でした。理科なんて嫌いという恭平に、湯川はペットボトル・ロケットの実験をして見せるのでした。
そこへ15年前の殺人事件を担当した塚原元刑事(塩見三省)が訪ねてくる。塚原は事件の犯人、仙波英俊(白竜)を逮捕しましたが、これまでずっと納得がいかずついに節子に自分の考えを話すつもりだったのです。成美、節子、重治、そして仙波には重大な秘密がありました。
塚原は翌朝、防波堤から転落した遺体で発見されます。はじめは事故かと思われましたが、司法解剖により死因は一酸化炭素中毒であることが判明し、岸谷刑事も東京と玻璃ヶ浦を往復して情報収集に努めることになりました。
塚原は民宿の客室で中毒死したことが確実となり、ボイラーの不完全燃焼が原因であわてた重治と節子が死体を遺棄したと自白しました。しかし、湯川には、これが事故による過失致死ではなく殺人だということ、そして彼らが何に代えても守ろうとしていた秘密が少しずつ見えてくるのでした。
物理学以外に何も興味が無いかのような湯川ですが、今回も実に人間的な感情を露にします。それがらしくないと批判の的になる部分もあるのですが、湯川なりに精一杯の心情が見えるところが「実に面白い」という感じ。
資源開発の地元説明会をさぼって、恭介のために本気でペットボトルロケットを飛ばすあたりは、説明会の緊迫感と岸谷が捜査で走り回るところとを矢継ぎ早に画面転換してその本気度を際立たせる演出はうまいアイデアです。ただし、画面上は手掛かりはちょっとずつばらまかれていますが、湯川が真相にたどり着くのがちょっと乱暴なところは否定できません。
杏は女優として認知度が高まってきた時期で、水着姿のサービスショットだけでなく、堂に入ったシュノーケリングもたっぷりみせてくれます。ここでの吉高由里子は、添え物的な感じであまり重要度は高くなさそうですが、やや化粧がきつめなのが気になるかもしれません。