ホンダと簡単に呼んでますが、正式には本田技研工業。ホンダは、つい先日、トヨタにも日産にもない新しいコンセプトの車両の発売を発表しました。
車名は「CR-V e:FCEV」というもので、名前からも水素燃料車であることがわかります。ホンダは、2016年にだけ「クラリティ」で水素燃料車をすでに販売していました。クラリティは、一部でトヨタのMIRAIと共通の構造で、1回3分の水素充填で750kmの走行を可能としていました。
CR-Vは、5代目が2022年まで販売され国内では終了したもので、6代目は北米のみの発売。今回は、その6代目のパワートレインの刷新しての「逆輸入」という形です。
CR-V e:FCEVの特徴は、何といっても充電用プラグを装備していることです。水素による1回の充填走行距離は600km、1回の満充電による走行可能距離は60kmとされ、搭載する電池はPHEV並みと思われます。
車体のタイプはSUVでボディカラーはホワイトかグレイ、全長・全幅・全高は4805・1865・1690mmのミッドサイズ。FF駆動方式というところだけ公表されています。
おそらくMIRAIなどと同じ130~140万円前後の公的補助金がつくものと思われますが、価格はわかっていません。車格から考えると600万円程度ではないかと想像します。発売は2024年夏となっていますが、すでに先行予約の受付が行われています。
FCEVなのに充電もできるというのが一番の特徴ですが、充電用のバッテリー搭載で車体重量は重くなりそうなので、SUVとしてはオンロード・メインで力強さはあまり期待しない方が良いかもしれません。充電ポートからの外部給電ができるところは嬉しい機能だと思います。
ホンダはBEVとFCEVの販売を、2030年までに年間200万台(2023年の実績の50%)、そして2040年までに100%という目標を掲げています。かなり強気な印象は拭えませんが、今回のCR-Vのリニューアルもその一環という位置づけだろうとは思います。
ただ、バッテリーだけで走れる距離が60kmでは、どれほどの意味があるのか疑問です。ガソリン感覚で水素ステーションを利用できるなら、走行に関しては充電の必要性はほぼ皆無と言ってよく、むしろ車体重量を増やすだけのマイナス面が気になるところ。
毎日、家で充電して水素を使わずに街乗りだけするというなら、日産のBEVのサクラなどの方が現実的な選択になりそうだし、もしも遠出をするとなると都内以外では水素ステーション探すのはかなり困難が予想されます。60kmごとに充電では、あまりに無駄が多い。
とは言っても、補助金があるうちは、PHEVよりも安く手に入れられそうなのは美味しいところ。実車が登場して、どのような評価がされるのか興味深いところではあります。