2024年3月10日日曜日

PHEVへの道 50 トヨタ クラウン・エステート


自動車に何を求めるか? というのは、ひとそれぞれ。車の使い道としては、仕事の道具として無くてはならない方、趣味として楽しみたい方、自分や家族の通勤・通学の手段として利用する方などなど様々な利用者がいます。ですから、求めているものも車の大きさだったり、加速性だったり、乗り降りのしやすさ、優雅な乗り心地、荷室の広さとか色々です。

トヨタのクラウンという自動車は、トヨタ・ブランドの一般向けフラッグシップですが、2022年に発表された16代目となるフル・モデル・チェンジで、クラウンと云えばセダンという固定概念を一気に突き崩した点に業界のみならずユーザーにも衝撃的でした。4つの異なるコンセプトを一気に創り出したことで、トヨタの底力をまざまざと見せつけました。

2022年9月に先陣を切ってセダンとSUVの融合したクラウン・クロスオーバーが発売され、2023年11月に王道セダンのクラウンとSUVタイプのクラウン・スポーツ、12月にはスポーツのPHEVという具合に、ユーザーの嗜好・目的ごとに外見も中身も違うクラウンが登場しています。

そして最後に残ったのがステーション・ワゴンであるクラウン・エステートです。北米では「CROWN SIGNIA」という車名で発売が予告されています。エステートは主としてヨーロッパで、ステーション・ワゴン(セダンの後方荷室を大きく拡大したもの)に対して用いられています。当初は2024年3月までに発売されるはずでしたが、ここにきて「さらなる作りこみ」のため夏頃まで発売が延期されました。

クラウンで、エステートの名前が初めて登場したのは1999年の11代目の時ですが、2007年に販売終了したため、今回のエステートの復活は17年ぶりということになります。実際には、初代クラウン(1955年)から「バン」という呼称でステーション・ワゴン・タイプが存在していましたが、1991年の9代目で一度消滅し、初代エステートの登場もステーション・ワゴンとしては8年ぶりでした。

エステートの外見は、従来のイメージを現代風に一新したセダンとクロスオーバーに対して、かっこよさに振り切ったスポーツと共通点が多いフロント・フェイスと優雅にシュンとしたリアを持っています。スポーツの筋肉もりもり感とは違う洗練された見た目は、かなり人気となりそうな気配です。

大きさは全長・全幅・全高・ホイールベースが、4930・1880・1620・2850mmで、スポーツと全幅は同じですが210mm長く、50mm高い作り。ホイルベースも80mm長くなっています。これは後方の荷室部分の拡大のためなのははっきりしていて、スポーツのラゲージ容量が397Lに対して、数字は公表されていませんが2倍以上はありそうです。リア・シートを倒すと荷室長が2m越えのスペースとなり、いろいろな道具を持ち運びたいアウトドア・シーンでは大いに活躍が期待されます。

よく問題にされるのが、マンションなどに多い機械式立体駐車場に入るのかという点については、たいてい高さ1550mm制限に当然引っかかるので無理です。全長も長くなっているので、ゆとりのある平置きの駐車スペースを確保できないと所有できないのが辛いところです。

パワートレインはHEVとPHEVとだけ発表されていて詳細は不明ですが、同じパワートレインのスポーツと基本的には同等と思われますが、大きさと重量が拡大しますし、ある程度たくさんの荷物を積載することを考えると、少なくともトルクなどはアップさせるような調整はしているのではないでしょうか。

さすがに営業車として使用するには贅沢すぎる感じなので、主としてファミリー層向けのレジャー使用をターゲットにしているような感じですが、見た目の良さから走行性能さえ満足できれば単なる車好きにも刺さることは間違いなさそうです。