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2024年3月2日土曜日
PHEVへの道 47 あらためて合成燃料
数年後にはガソリン車の販売は禁止と息巻いていたヨーロッパなどで、最近完全電気自動車化が困難という状況が出てきたため、合成燃料を使うならエンジン車もOKという具合に態度を軟化させました。
合成燃料(e-fuel)とは、二酸化炭素 CO2と水素H2を原料として製造する石油の代替となるもののことで、ガソリンや灯油のかわりに使用可能であることを前提としています。人間活動の中で排出されるCO2と再生可能エネルギー由来のH2を利用するため、カーボン・リサイクルによるカーボン・ニュートラルな燃料として期待されています。
CO2排出の多くを占める大型の交通手段であるトラックや飛行機は、電動化したくても大量の電池を搭載することが不可能です。現状で10tトラックを電気自動車にするには、荷物スペースの大半が駆動電池で埋まってしまうことになりかねない。
そこで期待されているのがe-fuelです。e-fuelであれば、既存の機体をそのまま利用でき、なおかつカーボン・ニュートラルという一石二鳥です。ただし、まだまだ開発・研究段階の域にあるわけで、すぐさま利用できるわけではありません。
現状では(海外からの)H2調達に高いコストがかかり、ガソリンの数倍の価格になってしまいます。また、大規模な製造工場がまだありません。さらに、運搬・貯蔵の方法も確立していないので、今のところ使うためのインフラは皆無です。
しかし、遅くとも2050年までに自動車の新車販売がすべて電気自動車になったとしても、それまでに使われていたエンジン車はまだまだ全自動車数の過半数を占めると推定されています。これらの車が引き続き化石燃料を使用していれば、カーボン・ニュートラルの実現は困難になることが予想されますので、e-fuelへの期待は大きい。
一見似たような印象を持ちますが、バイオ燃料 (Biofuel)と呼ばれるものがあります。これはバイオマスを原料として、直接燃焼させるだけでなく、液体のアルコールやペレット状の固形燃料に加工したものです。
トウモロコシやサトウキビなどからエタノールを合成して、ガソリンよりもエネルギー効率は劣るものの車などでの実用化は始まっています。アメリカでは、バイオエタノールを一部含むガソリンが実際に売られています。日本でも、2008年にトヨタが発売したカローラ・フィールダーは、バイオエタノール混合率10%燃料対応でした。
最終的にはどれかに収束していくのかもしれませんが、少なくとも電動化だけではカーボン・ニュートラルは達成しないわけで、多角的な方策が考えられ、そしてすでに始まっているということですね。