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2024年3月5日火曜日

PHEVへの道 49 日産アリアNISMO


トヨタでスポーティにチューンアップしたモデルのシリーズが「GR」と呼ばれるように、日産自動車のスポーツモデルに冠されるのが「NISMO」です。いかにもスポーティな走りが期待できるGT-RやフェアレディZが有名ですが、2024年春に登場予定となっているのが電気自動車のアリアのNISMOバージョン。

アリアは2021年から販売され、当初はバッテリー容量の違うB6とB9、そしてそれぞれに2WDと4WDがラインナップされていました。販売は比較的好調でしたが、部品供給不足によって、納期遅れと度々の受注停止により販売台数が伸びていません。現在はB9および4WDモデルは事実上販売停止状態になっておりHPからも削除され、B6の2WDのみが購入できます。

NISMOバージョンは4WD仕様のアリア B6およびB9 e-4ORCEをベースに、よりスポーティな専用チューニングが施されたものとなるようです。最高出力は10%増となり加速性を引き上げ、剛性も強化して安定性も高めているようです。タイヤは通常モデルは235/55R19ですが、255/45R20とインチアップしています。

詳細はまだわかりませんが、プレスリリースで判明しているところを比較してみます。

大きさは通常が、全長・全幅・全高は4595・1850・1665mmに対して、NISMOは全長が55mm長く4650mmになります(たぶんスポイラーの差)。ホイール・ベースはどちらも2775mm。車両重量は通常が2230kgでNISMOは2220kgとやや軽くなっている。バッテリー容量はどちらも91kWh (B6は66kWh)です。

最大出力は通常がB6もB9もフロント・モーター160kW・リア・モーター160kWですが、NISMOは総合出力としてB6が270kW、B9が320kWとなっていて、どこで出力アップしているかは不明(リアに重点が置かれているらしい)。最大トルクも同様で、通常がB6もB9も300+300Nmですが、NISMOはB6は560Nm、B9は600Nmとなっています。

最近のトヨタのPHEVなどもそうなんですが、いわゆるエコカーとして燃費が良い、CO2排出が少ないということが目標だった時代は終わり、そのうえで走りの楽しさそのものを追求する姿勢が各社に出てきていることは、自動車好きにとっては喜ばしいことです。

現状で国産BEVを選ぶなら、第一候補にも挙げられそうなアリアのこのような進化は歓迎するところではありますが、いかんせんアリアの納期は場合によっては1年以上となっていて、事実上受注停止が長期に渡って続いている状況です。当然、NISMOバージョンもかなり限定的な販売になり、その上長納期を覚悟しないといけない雰囲気なのが残念なところでしょうか。

また、日産の下請けのサプライヤーに対する一方的な支払い減額がニュースになったばかりで、トヨタに続いて自動車業界の闇の一端が明らかになったことも、消費者側としては心配するところだと思います。