クリニックの夏季臨時休診のお知らせ
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2020年7月30日木曜日

安楽死殺人


最近の医療関係の話題と言えば、当然ほとんど新型コロナウイルス関連なんですが、そこへ「安楽死殺人」という衝撃的な事件が急に登場してきました。

もちろん、関係者では無いので、表面的にニュースで伝えられていることしかわかりませんが、簡単に話を整理すると・・・

筋委縮性側索硬化症(ALS)の患者さんが自ら死を望んで、ネットで安楽死を依頼。実際に、引き受けた医師が薬物投与により患者さんを死に至らしめたというもの。

そもそもALSは神経難病で、発症すると通常全身の筋肉が動かせなくなり、治療法が無いため5~10年以内に呼吸の筋肉も使えず死に至るとされています。

罹患した有名人としては、野球のルー・ゲーリック氏、物理学者のスティーブン・ホーキング氏、また最近では美容家の佐伯チズさんなどが知られています。

正直言って、ALSの診断が下れば、患者は確実に死に向かう事が決定し「絶望」しかない。残りの人生を有意義に過ごしたくても、自分でできることはどんどん減ってしまい、今回の患者さんのように「無理やり生かされている」と考えることも否定しようがない。

一人の人間としては、「生きる権利」と共に一定の条件のもとに「死ぬ権利」も存在することは認めざるをえないところなんですが、ALSの患者さんは基本的に自ら死を選びたくても、肉体的に不可能です。

しかし、現在の日本の法律、および日本人の考え方として、安楽死は極めて厳格な条件の下でしか認められていません。少なくとも、患者さんが望んでいたことが明確であったとしても、患者さんの死に手を貸せば、医師であろうと「殺人」あるいは「殺人幇助」の罪に問われることは間違いありません。

人の命を助けることが医師の使命ならば、当然「安楽死」は医療とは呼べませんが、病気などから人の苦しみを助けることが医療の役目と拡大するならば、安楽死も一つの手段として成立するのかもしれません。

少なくとも、そこには患者さん、およびその家族らとの繰り返しの話し合いがあって、関係者全員が他に手段が無いことを確認し納得していることは絶対に必要。それでも、延命手段を中止するという消極的な方法しか現実的な選択肢はありません。

安楽死を認める国もありますが、少なくとも自分の倫理観の中では、積極的に人が死ぬ行為が通常の医療の一部として認知されることはありません。

今回のような、普段治療に当たっていた主治医以外の医師が、金銭授受を介して安楽死を実践したのが事実であるならば、殺人以上でも以下でもありません。医療関係者としては、極めて残念なニュースだということです。