2008年6月11日水曜日

ねみみに水の騒動

昨日家に帰ってからのニュース。三重県の某整形外科クリニックで、ノイロトロピンとメチコバールという薬を点滴で投与された患者さんが何人も入院し、一人が死亡していた、というもの。もう、びっくり仰天です。

これは神経痛をおさえるために一般的に行われている方法で、うちのクリニックでも毎日数人の患者さんに行っています。しかし、自分の所も含めて、いまだかつて何か問題があったという話は聞いたこともありませんでした。

経営的には、注射薬を購入して、点滴の道具を使用してほとんど利益はありません。処方箋を出せた方が、なんぼ儲かることか。しかし、ある程度高齢者の方に行う事が多いので、すでにいろいろな薬を服用されている方に内服薬を増やすよりは、効果も出やすいこの方法の方が使いやすいのです。

しかし、このようなニュースが流れると、そのまま同じ注射をするというわけにはいきません。本日はいつも注射をしていかれる数人の患者さんには、事情を説明して安全性が確認できるまで注射は行わないことにしました。メチコバールの製薬会社は、本日すぐに事情を説明しに来ました(こういうところはジェネリックメーカーと対応が大きく違うところです)。

さて、ニュースのその後はどうなったのか気になるところです。このクリニックは1日に300人もの患者さんが来るそうです。これはすごすぎます。医者一人ですから、いくらなんでも限界をはるかに超えています。患者さんに対しても、スタッフに対しても目が行き届くはずがありません。

さらにびっくりしたのは、毎日この点滴をする患者さんが100人いるということ。3人に1人は点滴するわけです。いくらなんでも多すぎでしょう。そして、どうも大量の点滴をさばくために点滴の用意をまとめて作り置きしていたということに重ねてびっくり。

どうもどこかで細菌が混入してしまったことが原因と考えられているというのです。この問題については一医療施設の注射を行う方法が原因であり、治療法そのものの問題ではないという結論がでそうですが、このようなことが、医療全体の信用を低下させるわけですから、自分ももう一度気持ちをひきしめないといけません。ふだん、何気なくいつも通りに行っていても、実は大きな問題をはらんでいることはありうるわけです。