関節リウマチという病気、日本には約70万人の患者さんがいると言われていますが、実は関節リウマチ専門医と呼べる医者は約8000人いるのです。
もしも、全ての患者さんが専門医の診療を受けているとしたら医者一人平均87.5人の患者をみていることになりますが、実際にそんなことはないでしょう。専門医以外のところで治療している患者さんも大勢いるでしょう。
ただ、ここで問題なのは専門医以外の医者の話ではなくて、専門医そのものです。関節リウマチ専門医は内科系と整形外科系に別れます。
つまり主として内科系の日本リウマチ学会と日本整形外科学会がそれぞれ別々に認定をしているのです。日本リウマチ学会の専門医はおよそ3000人、日本整形外科学会の専門医はおよそ5000人といわれています。
これは患者さんにとっては混乱を招くことになりますよね。どっちに受診するのか悩みどころです。もともと関節の痛みで病院に行こうと思うことから、はじめは整形外科にかかる可能性が高い。しかし、変形がないうちは薬の治療が中心になるので内科的に管理されることになります。
特に最近のように、どんどん薬が進歩し、しかも副作用が大変重要な課題になってくると、内科中心と考えられなくもありません。生物学的製剤の登場により、今後はますます変形を起こして手術が必要になる患者さんは減少すると予想されますので、ますます内科的疾患になっていくものと思います。
ただ、内科系の医者は血液検査に頼る傾向があり、また整形外科の医者はレントゲン検査に頼ることが多いんです。両方のバランスが必要なわけで、そういう意味で、じぶんの場合はリウマチセンターに行けたことは本当に幸運でした。
ですから、クリニックレベルでは「整形内科」をやっている専門医のところに受診するのがベストではないかと思うんですよね。基本的には関節リウマチは外来で診る病気です。コントロールがどうしてもつきにくい患者さんや合併症や副作用のある患者さんは、専門施設の病院のリウマチ内科が必要になります。
リウマチ内科の医者は、適切な時期に適切な手術治療を整形外科に依頼できる知識も併せて習得することを強く望みます。整形外科も十分に薬を使いこなす勉強をしなければなりません。
自分は、日本整形外科学会の専門医の資格を取っています。女子医大リウマチセンターにいたので、取ろうと思えば日本リウマチ学会の専門医も取れると思うのですが、実はこのような専門医の資格を維持していくのには大変な時間と費用と労力が必要なのです。
だからこそ、意味があるわけですが、日本整形外科学会専門医(全般)と日本整形外科学会リウマチ専門医の二つの資格を維持していくだけでも、いっぱいいっぱいなのです。学会に行って、ちゃんと教育講演を聴いて単位を集めなければならないのです。
開業してからは、なおさら簡単にクリニックを休んで学会にいくわけにはいきません。さらに資格を増やすのは、とてもきついと思い日本リウマチ学会の資格には手を出していません。実は日本手の外科学会の専門医も取れる状況でしたが、同じような理由であきらめました。実際、開業して手の外科専門で患者さんが集まるとは思えませんし。
一時、両方の学会のリウマチ専門医を統一していくというような話もあったように思いますが、なかなか話は進みませんね。ただ、多少は整形外科専門医からリウマチ学会専門医への移行措置はあるようなので、今後考えたいとは思います。どちらにしても、とにかく専門医として恥ずかしくない知識と経験を積み重ねていくしかありません。