2014年1月14日火曜日

関節リウマチの病型

関節リウマチ治療は、21世紀になって劇的に変貌を遂げて、時には治ったに近い状態 - つまり寛解と呼ばれる状態に達する患者さんが増えました。早期発見と早期の治療介入が一般的となり、かつての病型分類はだいぶ様相が変化しました。

従来の病型分類は、①良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ変形が加わっていく、②治療に反応がよく、症状は最初だけ、③治療に抵抗性でどんどん悪化して、重度の変形に陥る(ムチランス型と呼ばれます)の3つです。

20世紀までの治療の中では、圧倒的に多いのが①で、②はほとんどいませんでした。ところが、最近は半分近い方は②の経過が期待できるのです。①の場合も少しずつ悪くなると言っても、そのスピードはかなり遅くなった。

③のムチランス型の方は、かなり少なくなったと言えますが、それでも現在の治療薬でもどうにも反応しない患者さんは存在します。

このような病気の勢いの変化は、あくまでも生物学的製剤と呼ばれる高額な治療薬の使用(それも変形が出ていないうちからの使用)を前提としていることを忘れてはいけません。現実には、経済的な理由で従来の治療法を選択する場合も少なくないのです。

また、生物学的製剤は特効薬、あるいは魔法の薬ではなく、使用していても少しずつ悪くなる①のようなタイプは少なからずありますし、激減したとはいえ③もある。副作用や合併症の関係で、使用できない患者さんもいるわけです。

②や軽症化した①が大多数を占めるようになって、外科的治療の介入の必要性は激減しました。つまり、純粋な整形外科医がリウマチ診療に関わる頻度は激減したと言えます。昔は一般内科医と一般整形外科医が協力して診療に当たるというのが普通でしたが、現代リウマチ診療は、両方の知識を併せ持つリウマチ専門医の必要性が増しました。

とは言っても、いざとなると外科的治療も考慮せざるをえない状況は無くなったわけではないので、整形外科的な知識をどのように活用していくかは、リウマチ専門医の課題としてずっと残る問題です。

体重が絶えずのっていて、動かして使用する膝関節や股関節のすり減り、足部の扁平足や外反母趾、そして手指の腱断裂といった問題は、初期の治療介入が遅かった場合や治療期間が長くなれば、今でも珍しくない問題です。

最先端の薬物治療を駆使して、リウマチそのものの病気の勢い - つまり炎症を抑制できたとしても、一度生じた変形が見た目にわかるほどに治るわけではありません。また一度質が悪くなった骨は、時間とともに少しずつ変形を増して行くのです。

これらに対しては再生医療の進歩に期待するしかないのですが、iPS細胞の登場により一つの道筋が見え始めているわけです。ただし実用化するには、まだまだ時間がたくさん必要な事なので、それまでは少なくなって忘れがちになっている外科的治療の知識をどのように継続させるかということもリウマチ医の課題の一つだろうと思います。