2014年1月12日日曜日

ヒッチコックを読む

サスペンス映画の神様として君臨し、1980年4月29日に亡くなりました。この年は、山口百恵が引退した年(あまり関係ないけど・・・)。それから、34年。最近は、テレビの映画枠でも放映される事もなく、若い人には「誰?」という感じかもしれません。

自分にとっては、「鳥」をはじめとして、スリルとサスペンス、怖くてどぎどきさせてくるのヒッチコックの映画は、小学生の頃から親しんだもので、亡くなった時は残念に思ったものです。

当時、好きだった文筆家のひとりの植草甚一さんが、 ヒッチコックが大好きでいくつかのエッセイを出していたので、その影響も随分とあったと思います。植草さんは1979年に亡くなり、こちらもたいへんがっかりしました。

さて、ちょうどヒッチコックが亡くなったすぐあとの7月に発売されたのが、フィルムアート社から出版された「ヒッチコックを読む」と題された本。これはテーマにそって映画を紹介し、関連するエッセイを収録した Book Cinematheque というシリーズの一冊。

当然、出版の準備は1年くらい前には始まっているんでしょうが、まさに追悼出版という感じになったわけです。うちにあるのは、その初版本で、摺れ、しみ、ページ折れなど、もう見る影もないくらいに痛んだ状態ですが、何度も何度も繰り返し、ページを開いた証みたいなもの。

今でこそ、ヒッチコックの映画をすべて紹介する本はいくらでもありますが、自分にとってはベストな一冊として欠かす事ができないものです。今でも、普通に売られていて、自分だけでなく多くの人に支持されているということでしょう。

1980年というと、まだまだビデオもほとんど無かった頃。実際に見たくても、そのほとんどが幻の作品だったんです。この本では、各作品を数ページで紹介し、作品にまつわるトリビアも満載。見ていなくても見た気分にさせてくれる、立体的な編集が素晴らしい。

今は主要作品はBluray、大半はDVD、ごくわずかに残ったものもネットでの視聴が可能となりました。それでも、ヒッチコックがトリフォーと対談した「映画術」とともに無くてはならないファン必携の一冊である価値は減じる事はありません。

よしっ!! 決めた。今年は、この本を片手に、ヒッチコック作品をすべて見直すぞ!!