2014年9月14日日曜日

三位一体節後第13主日

三位一体節後第13主日です。

この日のために作られたカンタータは、3曲残っています。いずれも、比較的マイナーで、全集以外に録音を残している人は少ない。

BWV77 汝の主なる神を愛すべし (1723)
BWV33 ただ汝にのみ、主イエス・キリストよ (1724)
BWV164 汝ら、キリストの者と名のる徒 (1725)

BWV77と翌年のBWV33は初めと終わりがコラール、間にアリアとレチタティーボを交互にはさむ典型的な構成。BWV77では、全体のポイントはトランペットの活躍でしょう。

バッハのトランペットの使い方は、いくつかあるオラトリオの冒頭が典型的で、ファンファーレのように華やかさを加えるために派手に鳴るものが多い。ところが、ここでは実にしっとりとした響きが印象的で、このような使い方は大変珍しい。

BWV33では冒頭のコラールとアンサンブルが見事ですが、3曲目のアルトのアリアが目玉。なんと10分以上のアルトの独り舞台です。ぽつん、ぽつんと弦をはじくゆったりとした伴奏も他にはあまり聴かないもの。

BWV164は、テノール、バス、アルト、テノールとソロでアリアとレチタティーボをこなしていき、ソプラノとバスのデュエット、最後に短いコラールの合唱という構成。ソプラノが登場したところが、急に華やかさが加わって耳に残ります。


バッハの宗教曲の録音史では、一般的にカール・リヒター(1926-1981)が神格化されていて、早死にしただけにカンタータが全集として完結しなかった事が残念でならないという意見が多い。

リヒターが70年代を中心として活躍したとすると、60年代にバッハを精力的に演奏したのがフリッツ・ヴェルナー(1898-1977)です。

ERATOレーベルら、多数のアルバムを出していましたが、今ではやや忘れられた存在。しかし、バッハの宗教曲、特にカンタータを精力的に録音した先駆者として記憶にとどめておく必要があります。

ヴェルナーは当然モダン楽器による演奏で、リヒターに比べれるとあっさりとした感じの演奏です。逆に、リヒターの「もったいをつけた」ような思いいれたっぷりの演奏が苦手という人には、むしろヴェルナーのほうがいいかもしれません。

演奏には、フランスの多くの後に著名なソロイストになる人たちがたくさん加わっているのも聴き所です。大多数がステレオ録音で、今はリマスターされ、全部でCD30枚にまとめられたボックスが発売されています。