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2023年1月6日金曜日

Dietrich Fischer-Dieskau / Schubert Lieder

20世紀が生んだ最大の歌手と言えば、クラシック音楽界では誰もがディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウをあげることに異を唱えません。

歌劇、宗教曲での歌唱はもとより、フィッシャー=ディースカウが最も重要なレパートリーとしていたのがドイツ歌曲(リート)です。

これらは、そもそも歌い方も随分と違うので、たいていの歌手は専門が分かれることが多く、歌劇の人気歌手でもリートを唄うと不評だったりするものです。

声域はバリトン。一番低音部を担当するわけですが、フィッシャー=ディースカウの声は艶やかで伸びがあるので、高音域でもテノールに負けない美しさがあります。

リートは、今で言えば歌謡曲みたいなもの。例えばゲーテのような、当時の人気の詩人の書いたものにメロディをつけ、主としてピアノ伴奏で手軽に楽しまれたものです。特にシューベルトは、歌曲王と呼ばれるくらい膨大なリートを残しており、Hyperionの偉業である歌曲全集はCD40枚にも及び、最も有名な歌曲集「冬の旅」は歌っていない歌手を見つける方が大変なくらいです。

フィッシャー=ディースカウのシューベルト作品は、当然膨大な数が残されていますが、やはり金字塔ともいえる最高傑作が、60年代を中心に集大成を意識して録音された一連のシリーズ。ボックスCD化され全21枚で、男声歌唱用、および男性が歌って違和感がない物が網羅されています。

ということは、実は女声歌唱用のものや重唱が抜けているわけですが、そこはさすがクラシック音楽の殿堂、ドイツ・グラモフォン・レコードですから、ちゃんと残りをしっかりおさえたCDセット(6枚)があり、これも合わせれば基本的に全部そろうことになっています。

オリジナルのセットはプレミア価格になっていますが、その後登場した廉価版ボックス(ブックレット無し)も安くはなく、いまだに人気が高いことがわかります。自分は歌詞なども見て見たかったので、3分割されていたオリジナルの分売ボックスを個別に揃えました。かなり箱は壊れたりしていましたが、中身は大丈夫で全部で4000円くらいですみました。

当然、知らないメロディがたくさんありますが、それと同じくらいどこかで聞いたことがあるぞというものも出てきて実に楽しい。正月休みは、ずっと聞いて過ごしていましたが、半分以上がまだ聞けていません。しばらくは続けて楽しめそうです。