ジェフ・ベック死去。78歳。
随分と年をとったんだね、とあらためて思う。
最初の出会いは、1971年。もう50年も前の話。中学生になったばかりの頃、何を思ったか姉が急に「ラフ&レディ」を買ってきた。たぶん、何かの間違いで買ってしまったんだろう。ところが、そろそろロックに目覚めた弟の方が気に入ってしまった。
これは、一般には第2期ジェフ・ベック・グループと言われているバンドのアルバムで、黒人が加入していたせいもあってか、けっこうソウルっぽい感じが目新しかった。
その後、1973年、ベック・ボガート&アピス(BBA)という三人編成になって、ハード・ロックの王道に戻る。BBAでの来日が決まった時、ほぼ同じタイミングでユーライア・ヒープも来日。どっちに行くかで迷いに迷って、結局ユーライア・ヒープに行ったことは、後々までずっと後悔。BBAは日本公演のライブ・アルバムが出たことが唯一の救いだった。
ロック界で、三大ギタリストと呼ばれるのは、いずれもイギリス出身でヤードバーズに在籍した、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミーペイジ。
アメリカ南部の泥臭いロックに転進したクラプトンと、もうボーカルはいらないとギター・インストルメントに突っ走ったベックは、自分にとってはロックの最大のヒーロー。社会人になっても、ずっとアルバムは出ると買っていた。
1975年、ボーカルを排した「ブロウ・バイ・ブロウ」の衝撃たるや、とても言葉では言い表せない。ロックといえば、ボーカルは絶対付き物で、間に各楽器のアドリブ・ソロが入るという固定観念が出来上がっていたので、全編ギターで押し切るというのは、あまりのすごさに感動を越えていた。
今でこそ、クロスオーバーとかフュージョンとか、その手のアルバムは当たり前のようにあるけど、まさにこれがスタート。そして、これを超えるアルバムは、少なくとも自分は知らない。
ジェフ・ベックが死んだ。その事実だけでも、新年早々、かなりへこたれる。今日は、ずっとベックのギターを聞いていよう。