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2023年1月1日日曜日

俳句の勉強 66 元旦の俳句


あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

日本人なら当たり前のように、新年を迎えて晴れ晴れとした気分になるものです。良い事も悪い事も、新しい年になることで一度リセットして、さらに頑張ろうとかもう一度やり直そうとか思います。

元日やおもへばさびし秋の暮 芭蕉

旧暦を基準にしている俳句の世界では、1月から季節は春。特に1月は「新年」と呼ぶ特別な季節の名前で呼ぶ慣わしになっています。芭蕉は、大晦日までいろいろと信念を迎える準備でばたばたとしていましたが、まるで秋の暮を思わせるような静かな元旦を迎えたと感慨に耽っていたのでしょう。

1月1日は、年の始めであり、月の始めでもあります。そして日の始まりでもあるので、「三始」という呼び方もあります。

面白い別名は「鶏日(けいじつ)」で、荊楚歳時記(6世紀に成立した中国の年中行事を記したもの)が元になっています。1日は鶏、2日は狗(いぬ)、3日は猪、4日は羊、5日は牛、6日は馬というように6種の家畜の名で呼び、それぞれの日にはそれぞれの家畜を屠殺しない決まりになっていました。実は、7日にも「人日」という別名があって、死刑を行わない日とされていたそうです。

元日二日京のすみずみ霞けり 蕪村

元日はかはいや遍路門に立つ 一茶

やはり、現代と違って江戸時代の元日はだいぶ違った風景だったようです。ここ数年は、元旦から営業するという店は減ってきていますので、静かな元旦が戻ってきている気がします。

元日や見直すふじの去年の雪 正岡子規

元旦の朝、あらためて富士山を見やる。そこには雪が積もっているのですが、たった一日でも昨日より前は去年の事だということ。

元日や比枝も愛宕も雪の山 高濱虚子

元日や鷹がつらぬく丘の空 水原秋櫻子

元日や枯野のごとく街ねむり 加藤楸邨

大正・明治になっても、やはり正月は静かな印象です。戦後の高度経済成長期が、元旦の景色を変えたんでしょうか。でも、その頃に少年時代だった自分を思い出してみると、少なくとも三が日はどの店も休みでしたので、せっかくお年玉を貰ってもおもちゃ屋さんは休みで行けなかったものです。

元日や手を洗いをる夕ごころ 芥川龍之介

一般には小説家として認知されている芥川龍之介ですが、俳句もたくさん詠んでいます。これは、「元日」の俳句を探すと、たいてい名句として登場する賑やかな元日を思わせる句。新年を迎え、年賀の来客があったり、自身も初詣に行ったりと何かと忙しい。でも、夕方になって一段落して手を洗っていると、今日も暮れて行くのだとしみじみと思ったということでしょう。

名人の句を並べた後に、つたない素人句を出すのも気が引けますが、何でも勉強なのでご容赦いただきたい。

元日や干されたままの洗物

大晦日まで掃除をしまくって、すっかり外に干していた洗濯物を取り込むのを忘れていました。あれは去年の洗濯だなぁと・・・

元日に人人人の夜明け前

小高い丘の上に、まだ暗いうちから集まって来る人々。何か怪しい企みでもあるか、否、初日の出をまっているでした・・・という光景。その集団の一人になったこともありますが、何しろ寒い。テレビの中継で富士山をバックに見る方が気楽です。