2023年1月30日月曜日

Eva Knardahl / Grieg Complete Pino Works (1977-80)

クラシック音楽の作曲家というと、どうしてもドイツ、フランス、イタリアあたりが中心になるのは、歴史的にもしょうがない。でも、バロック、古典ときてロマン派が出現するころから、ヨーロッパ大陸の北の方にも後世に名を残した偉大な作曲家が登場しました。

エドヴァルド・グリーグは、ノルウエーの人。生まれは1843年で、年が近いのは東にチャイコフスキー、ドヴォルザーク、フランスにはシャブリエとかフォーレがいます。

さて、グリークと言えば、誰もが知っている一番有名な曲が組曲「ペール・ギュント」でしょう。「朝」のすがすがしさ、「魔王の広間」のメロディなどは聞けば絶対わかると思います。そして、ちょっとクラシックを聞く人なら、ピアノ協奏曲も有名。ひと頃テレビCMにも使われていました。

グリークの生まれたのはベルゲン。地形が名高いフィヨルドを下りきった北海に面した海岸沿いの街です。ライプツィヒに出て音楽を学び、20歳頃からデンマークで作曲活動を開始しました。ピアニストとして活躍する傍ら、オスロで指揮者を務めたりしつつ、民族性を重視した曲作りを特徴としています。1907年に故郷で病没、64歳でした。

一部の管弦楽曲を除いて、残された曲のほとんどはピアノ演奏曲と歌曲です。自分はよく知らずに、たまたまピアノ協奏曲も含まれているピアノ独奏曲全集を「安かったから」という理由でだいぶ前に購入していました。

演奏者はエヴァ・クナルダール。グリークと同じノルウェー出身のピアニストで、この全集が出るちょっと前に亡くなっているのですが、写真を見ると「おばちゃん」風。ところが、このおばちゃんはノルウェーの音楽界では重鎮で、かなり有名らしい。

グリークのピアノ全集というのも、これが世界初。1977年から80年にかけて録音されました。ものすごく世界中から高く評価されている全集なんだそうです。CD12枚という大ボリュームなんですが、グリークの代表作とされる伃情小品集が圧巻の冒頭3枚を占めています。ノルウェー、特にベルゲンの地域性に根付いた閉塞感、厳しい寒さ、だからこそ春の温かみの高揚感などが余すところなく表現されています。

続いてノルウェー民謡に基づく小品、舞曲集などが続きます。「ペール・ギュント」で、ちょっと一息。その後はまた同じような曲が続くので、悪くは無いのですが、さすがに一度に聞き続けるのは疲れそう。慣れるまでは、一枚づつ丁寧に聞き馴染んでいくのがお勧めです。