2023年1月25日水曜日

Friedemann Eichhorn / Liszt : Works for Violin and Piano (2007)

フランツ・リストと言えば、誰もが知っているクラシックのピアノ音楽のショパンと並ぶ二大巨匠のひとり。

ショパンと比べてという話になると、いろいろ長くなるのでここでは触れませんが、個人的にはショパンより作曲家としての功績はリストに軍配があがるように思っています。

ピアノ独奏曲だけでも、演奏時間にするとショパンは全作品でCD12枚程度ですが、リストは60枚くらい必要。他人の曲のピアノ独奏用編曲もいれたら、90枚くらいになろうというから凄いことです。ショパンはオーケストラ物は2つの協奏曲とニ三の小品だけですが、リストは協奏曲以外に交響詩、宗教曲などでCDにして15枚くらいは必要です。

二人に共通しているのは、室内楽曲があまり無いところ。ショパンはピアノ・トリオとチェロ・ソナタが1曲づつと小品でCD1枚に余裕で入ってしまいます。リストの方が多少多いといっても、せいぜいCD2枚分程度。

もっとも、ショパンが39歳で亡くなったのに対して、リストは74歳まで生きましたので、差があって当然ですけど、そこを差し引いても作曲家としての業績は歴然としたものがあるように思います・・・が、何かとショパンの方がいろいろと話題になる。

それはともかく、最も曲数の少ないリストの室内楽のCDは大変少ないので、それほど選択肢がありません。このCDの演奏者、フリードマン・アイヒホルンは現在50歳をちょっと過ぎたくらいのドイツのバイオリン奏者で、伴奏のピアノは現在80歳近いロルフ=ディーター・アレンス。

二人の共通点は、どうやら上司と部下らしい。リストが最も作曲家活動が活発だったのは、中年期のワイマールに住んでいたころ。ワイマールにはリストの名前を冠した音楽大学があり、二人はそこで教鞭をとる間柄。このCDが録音された2007年は、アレンスは大学の学長で、アイヒホルンはおそらく優秀な教員のようです。

ピアノ曲では巨匠然として技巧的な曲が多いリストですが、ここでは哀愁を感じる実にメロディアスな旋律を聞くことが出来ます。そもそもタイトルが「エレジー」や「ロマンス」ですから、それも当然。こういう曲をもっと作っていたら、リストの室内楽も注目されたのかもしれません。