2023年5月4日木曜日

大怪獣ガメラ (1965)

映画で活躍する怪獣と言えば、東宝のゴジラ、大映のガメラ。先行したゴジラにどうしても人気が行ってしまい、ガメラはリアルタイムにも二匹目のどじょうという扱われ方をされることが多い。

そもそも見た目が亀ですから、ゴジラと比べて存在そのものがジョークという感じ。ところが、何故か自分がこどもの時、映画館に連れて行って見せてもらえたのはガメラ。東宝より大映の映画館の方が、少しだけ家から近かったせいなのかもしれません。

実際に映画館で見たのは、人気となったギャオスが登場した後、バイラス、ギロンあたりが記憶に残っていて、ガメラもどちらかというと人類の味方という扱いで。

第1作は1965年、昭和40年、東京オリンピックの翌年に公開されたもので、白黒映画です。監督は湯浅憲明で、昭和ガメラ・シリーズは全部を手がています。テレビでは「東京警備指令 ザ・ガートマン」、「おくさまは18歳」、「刑事犬カール」、コメットさん」など多くのヒット作の演出をしました。

南太平洋で水爆実験によって登場するゴジラを意識してか、ガメラは北極の氷の中に閉ざされていたアトランティス大陸にいたガメラが、墜落した国籍不明機の核爆弾によって覚醒するという設定。

一般にはアトランティス大陸は大西洋、スペインとアメリカの間くらいにあったと考えられているので、何で北極? という感じだし、そもそも国籍不明機って何? みたいな突っ込み所は出だしから満載です。

ガメラに襲われた船が、SOSのモールス信号を発信するんですが、「SOS 60メートルの亀が現れた」というのですから、様にならない。それから日本に上陸して、いきなり亀好きの少年を助ける・・って、少年の危険の原因はガメラなんですけどね。

ガメラを追跡する動物学者に船越英二、助手に霧立はるみ、新聞社カメラマンに山下洵一郎。彼らの出たとこ勝負のアイデアを自衛隊が鵜呑みにして、ついに軍事機密(!)の冷凍爆弾を使ってガメラを裏返しにすることに成功しますが、飛んで消えてしまいました。

石油コンビナートに居座って火力のエネルギーを補給するガメラ。今度は伊豆大島に誘導し、火星探査用ロケットに乗せて宇宙にとばしてしまおうというZ計画を発動します。

と、まぁ、この頃の映画を正面切って理屈を言うのも野暮というもの。ガメラを殺さず、人類が勝利するという結末も、今後のシリーズ化を狙ってのことでしょうからよしとしましょう。特撮は大映の築地米三郎という人。監督らは事前準備で東宝に出向いて、特撮の神様と呼ばれる円谷英二のスタッフからいろいろ教わったらしい。

ちょっと気になったのは、原子爆弾に神経質なはずの日本人なのに、きっかけの事故はいいちとしても、ガメラを倒すために安易にアメリカに原爆発射を依頼するところ。ガメラが火力エネルギーで力を得ることに気がついて直前で中止したからいいようなものの、このあたりはいかがなものかと言いたくなります。