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2023年5月16日火曜日

SP The Motion Picture 野望編 (2010)

話題となったテレビ・ドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」が、3年ぶりに劇場用映画となって、いよいよドラマの疑惑の決着がつくことになりました。前後編の2部作になっていまて、完全にドラマからの連続したストーリーなので、ドラマから知らないとかなり面白さが半減してしまいます。

監督はドラマ版の演出を務めた波多野貴文。主なスタッフも同じなので、出演者のみならず、見る側も違和感なくストーリーに入り込めます。相変わらず、岡田准一のキレキレのアクションも見物ですが、映画となって一番ステップアップしたのはハリウッドに協力してもらったCG合成などの特殊効果。

2010年10月に封切られたEpisode Vとなる「野望編」は、六本木ヒルズの特設会場でのイベントからスタート。来賓の国交省大臣を狙ったテロを未然に防いだ井上(岡田准一)でしたが、あきらかに上司、尾形(堤真一)を睨みつける井上の目は猜疑心で溢れていました。

最近連続して発生しているテロ事件は、実は尾形が強く関与していて、さらに与党幹事長の伊達(香川照之)や、若手官僚たちも仲間だったのです。彼らは大学の政治サークルの先輩・後輩の間柄で、警察組織の改革をはじめとして腐りきった日本の政治体制の改革のために、今がテロの時代であり、いかに簡単にテロを引き起こせるかを見せつけるために事件を起こしていたのです。

尾形は井上をグループに引き込もうとしますが決裂し、グループは計画実行に邪魔な存在である井上の排除を計画します。深夜の北朝鮮のミサイル発射で、急遽官邸に呼び出された官房長官(螢雪次朗)を警護することになった第4係でしたが、テロリストの波状攻撃を受け石田(神尾佑)と山本(松尾諭)はナイフで刺され、笹本(真木よう子)はボウガンよって倒されます。

犯人たちは、官房長官襲撃と見せて、それよりも明らかに第4係のメンバーへの攻撃が目的であるように見えました。一人になった井上は、何とか官邸入口で警備の警官に官房長官を引き渡しますが、シンクロの力によって背後のビルの屋上にいる狙撃者の気配を察知します。

ビルに向かって「撃てよ、撃ってみろよ」と叫ぶ井上。狙撃者はドラマ最終話で麻田首相(山本圭)を模擬弾で狙撃した犯人で、しかも尾形があたらしく第4係に引き込んだ新人SPでした。しかし、近づいた尾形がライフルを取り上げ撤退を命じます。

代わってビルの屋上から井上を見つめる尾形の口からは、「残念だよ、本当に残念だ」という言葉が・・・

さて、次に行く前に、後編封切り前にテレビで放送されたスペシャル・ドラマがあります。それが「革命前日 (Episode Pre VI)」です。「野望編」で全員が負傷した第4係の面々が、数か月ぶりに休日を過ごしている様子と、着々と大きな計画を準備している尾形らのグループの様子が交互に描かれる形です。

あくまでも幕間劇ですから、見ていなくてもほとんど問題なく映画2作品を楽しめるのですが、登場人物の休日を通して人柄などが伝わり、作品を楽しむ上でより感情移入しやすくなるという仕掛けになっています。ただし、映画では簡単な回想と会話の中での説明だけになっているのですが、公安の田中(野間口徹)が、尾形の出自を調べに岡山に行くところは重要なポイント。

本物の尾形はまったくの別人で、尾形と呼んでいる人物は20年近く他人に成りすまし、警察官になっていたことが判明します。本当の姓は成瀬で、実は父親は衆議院議員でしたが自殺したのでした。尾形(あえてそのまま呼びます)は、高校生で父親の死の第一発見者でした。父の自殺(もしかしたら他殺)は麻田と関係があると疑い、それらの証拠を掴むことが尾形の最大の目的だったのです。

さて、最終のEpisode VI 「革命編」です。