2001年に1月からのクールで放映された連続ドラマの「HERO」は、木村拓哉の代表作の一つと言える大ヒット作でした。すぐさま続編が期待されたのですが、イメージが固まることを嫌った木村拓哉がなかなかウンと言わなかったらしく、ついに第2弾が登場したのは5年たってからのことでした。
「特別編」と題して、2時間半枠のスペシャル・ドラマとして復活。しかも、これは翌年公開された映画版への伏線となっていました。もちろん、単独でそれぞれを楽しめるようにもうまく作られているのには感心しました。
木村拓哉が演じるのは、事件の大小に関わらずとことこ真実を追求する型破りな検事、久利生公平で、ドラマ版での東京の検察庁城西支部から北海道、石垣島と渡り歩いて、山口県の虹ヶ浦支部に転勤してくるところから始まります。
虹ヶ浦支部の検事は東京と大事件担当に憧れる新米の泉谷りり子と支部長の西山吾一の二人。事務官は小森拓郎、村上健太郎、津軽保の三人。木村と絡む準主役は津軽を演じる堤真一と泉谷を演じる綾瀬はるか。そして犯人役で木村の取り調べを受けるのが、虹ヶ浦を支える鴨井産業専務で町の人々から絶大な信頼を寄せられている専務の滝田明彦で、演じるのは中井貴一です。
滝田が町にやってきたフリー・ジャーナリストを刺殺したことから、何故、誰からも尊敬される滝田が人を殺してしまったのか。彼が何を守ろうとしていたのか。久利生の小さな疑念ももらさず調査し真実を知ろうとする態度を見て、津軽は次第に心を開き、泉谷も検事として成長していきます。
滝田が調べつくされた事実を前に、ついに本当の動機を話し出すくだりは、20分ほどの長いシーンで、ほとんどカットがない長回しで、中井貴一の俳優としての見せ場です。そもそも殺されたジャーナリストが町に来たのは国会議員、花岡の描いたレールに乗っかってしまったからで、花岡は鴨井産業を潰して、町を思い通りに再開発しようとしているらしい。久利生と花岡の対決は映画版で描かれます。
個人的には、この後、「プリンセス・トヨトミ」で再び共演する中井・堤・綾瀬の三人が注目です。綾瀬はここまで連続ドラマの主役はありませんが、この作品後からドラマでも映画でも単独で主役として活躍するようになります。おそらく、一つの契機になったドラマと言えそうです。
残念なのはいまだにDVDしか発売されていないこと。せっかくの美しい海のシーンが多いのですが、やや露出オーバー気味で色が飛んでしまい、屋外シーンがイマイチな所。このあたりはリマスターしてほしいのですが、ドラマなのでそこまでは期待できないですかね。