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2023年5月8日月曜日

ミュージアム (2016)

監督は、「るろうに剣心」シリーズの大友啓史。TV出身ですが、珍しいことに在籍していたのはNHKで、代表作「ハゲタカ(2007)」で一躍脚光を浴びる存在になります。大河ドラマ「龍馬伝」 でもメインの演出家として活躍し、2011年にNHKを退職。

2012年の「るろうに剣心」を皮切りに同シリーズのすべてを手掛けたほか、「ブラチナ・データ(2013)」、「三月のライオン(2017)」などの話題作を監督し、最新作は木村拓哉・綾瀬はるかのW主演「Legend & Butterfly (2023)」です。

この映画は、原作は巴亮介によるコミックですが、連続猟奇殺人事件を扱ったサスペンス・ホラーで、同系統のデヴィッド・フィンチャー監督の「セブン(1995)」をかなり意識した作品だろうと思います。

「セブン」は、キリスト教における7つの大罪をモチーフにして、キリスト教圏の人々には潜在的に理解できるある種の背徳感を好みに扱っていました。しかし、形骸化した側面に強い仏教国である日本では、同じようなモチーフはなかなか見つけにくい。

そのため、ここでは連続殺人を犯す犯人の動機は、一個人の歪んだ美意識となった点が映画の弱点となったことは否めない。そのかわり、犯人を追う刑事の側に、犯人と共鳴する「父と息子」の関係性の葛藤を強く盛り込んで、映画としての深みを作り出そうとしているようです。

生きたまま猛犬にかみ殺された女性、たくさんの針を口に詰め込まれて殺された男性、殺されて体を盾に半分にされた男性・・・いずれも、遺体を見せびらかすように公開していく異様な手口が続きます。映画の早い段階で、犯人はカエルの仮装した男であることが示されます。

立て続けに起こる異様な連続殺人事件を追うのは沢村刑事(小栗旬)で、つい先ごろ家庭を顧みない夫に愛想をつかした妻(尾野真千子)が息子を連れて家を出てしまったばかりでした。

立て続けに起こる殺人事件の被害者は、しだいにある裁判の裁判官と裁判員であったことがわかってきます。沢村の妻もその事件で裁判員を務めていたため、沢村は行方を捜しますが、時すでに遅く妻子は犯人に拉致された後でした。

何故、カエル男は雨の日にばかり姿を現すのか。沢村は、犯人か陽の光を浴びることが出来ない日光過敏症であると推理し、病院を探し回り、ついに容疑者と思われる人物を特定して乗り込むのでした。

最後までカエル男は異様なメーキャップと奇怪な声のせいで、演じているのが誰かわかりません。エンドロールで、最後に登場する名前を見て驚くことは間違いない(とはいえ、とっくに知れ渡っているとは思います)。

ホラーよりもサスペンス調の方が強めではありますが、猟奇的な殺戮シーンはかなり目を覆いたくなるところがあるので、鑑賞する方は要注意です。