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2023年5月6日土曜日

映画 HERO (2007)

木村拓哉が演じる、大ヒットキャラクター、真実を知るためにとことん調べ上げる型破りな検事、久利生公平が活躍する「HERO」の初めての映画版。

2001年のテレビ・ドラマから5年、2006年7月にテレビで放映された単発のスペシャル・ドラマに続いて翌年9月に劇場公開され、この年の邦画興行収入でぶっちぎりの第一位を獲得しています。

スペシャルでは、久利生は山口県の虹ヶ浦支部から東京の城西支部に戻され、懐かしのメンバーと再会して終わっていました。城西支部の刑事部長の牛丸(角野卓造)以下、検事は芝山貢(阿部寛)、中村美鈴(大塚寧々)、江上達夫(勝村政信)、そして事務官には末次隆之(小日向文世)、遠藤賢司(八嶋智人)、そして雨宮舞子(松たか子)が、ドラマの時を彷彿とさせる絶妙な駆け引きで楽しませてくれます。

今回は、久利生が公判検事を担当した裁判で、当初自供していた単純な傷害致死事件と思われていた犯人が、供述を翻し事件の時のアリバイを主張するのです。そして、そのアリバイの証人となるのが、何と贈収賄事件の渦中にいる代議士の花岡練三郎だったのです。

スペシャルで、虹ヶ浦で久利生が担当したのは、花岡の罠によって引き起こされた事件でした。スペシャルと映画の間に事件の共通性は無いので、両者には少なからず因縁があるということだけ知っていれば問題はありません。

花岡は贈収賄の現場にいなかったアリバイとして、久利生の事件の犯人を証人としていたため、彼が犯人となることを防ぐ必要が生じ、凄腕の蒲生弁護士を付けることにします。演じるのは、当時は松本幸四郎だった、現在の松本白鷗、つまり松たか子のお父さん。

久利生と雨宮は韓国にまで渡り、韓国のカン検事(イ・ビョンホン)の助けで証拠の一つを探し出します。しかし、蒲生は「われわれは無罪を証明する必要はなく、有罪を証明するのは検事の義務だ」と久利生にせまり、検察側の主張を崩していくのです。

久利生は最後の切り札として、犯人のアリバイの証人である花岡代議士を証人として申請します。花岡を演じるのは木村拓哉が直々にオファーした森田一義(タモリ)というから、これも公開時ものすごく話題になりました。

検察の東京地検特捜部の黛(香川照之)らや、多数の報道陣が見守る中、いよいよ裁判が始まり、花岡が証人として出廷してくるのです。その頃、城西支部のメンバーは、必死に最後の証拠を探して街を走り回っていたのです。

もちろん、この映画版の最大の見所は、この裁判シーン。くだらない裁判と言い放つ花岡に、久利生は新聞でたったの数行の事件でも、どれだけの人が関わり、そして事件で亡くなった被害者の「命の重さを知るための裁判」であることを熱弁するのです。

さすがに映画版ともなると、出演者も豪華ですが、海外ロケも行われスケールアップした展開は大変楽しめる。スペシャルからは中井貴一と綾瀬はるかが、少しだけ登場するのも嬉しいポイント。例によって、レギュラーのコントめいたおふざけはやややりすぎという感じも無いわけではありませんが、久利生と雨宮の関係にも一定の答えが出たところも安心します。