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2023年5月21日日曜日

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。 (2018)

長めのタイトルなんですが、はっきり言ってこれがあらすじをほぼすべて表しています。

監督は李闘士男(り としお)という人で、基本的にはバラエティやドラマ中心のテレビ業界の方で、脚本の坪田文もテレビ・ドラマやアニメの仕事が中心のようです。

そもそも、この一風変わったタイトルは、2010年に「Yahoo!知恵袋」に投稿されたkkajunskyさんから質問そのもの。あまりに奇抜な質問なので、ネット上で知る人ぞ知る有名なネタになりました。特に「ほぼ日P」さんがこの話を楽曲に仕上げニコニコ動画にアップしたことで知名度がさらにアップし、コミックまで登場。そして今回の映画化というアゲアゲの展開をしました。

話の基本はタイトルそのままですが、映画ですから、膨らませて起承転結をつけて不思議な妻の行動に一定の回答を提供しています。

×イチの加賀美じゅん(安田顕)は、ちえ(榮倉奈々)と結婚して3年目を迎えます。結婚する時に、3年経ったら結婚生活を継続するか一度話し合うという約束をしていました。で、じゅんが「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」状態に突入するわけです。

最初は口からケチャップを垂れ流し「死んでいる妻」を見てあわてふためくじゅんでしたが、ちえはネタばらしの後普通に夕食を用意するのでした。翌日は大きなワニの模型の口に頭を挟まれて死んでいる。頭に矢が刺さっていたり、射殺された兵士だったりと、ちえの死んだふりはどんどんエスカレートするのです。

じゅんは仕事仲間の佐野壮馬(大谷亮平)に相談してみますが、もちろんまともな答えはわからないまま。佐野の妻、由美子(野々すみ花)はちえとも仲良くなりますが、「結婚生活の壁」みたいなものを感じていました。

中盤以降は、この二組の夫婦の絡みに、ちえのバイト先のクリーニング店の妻に先立たれた老店主(品川徹)、そしてちえを男手ひとつで育てた父親(螢雪次朗)の話が加わってきます。

基本的には、そこそこ笑えるほのぼのとしたエピソードの積み重ねの中に「夫婦って何だろう」という根源的なテーマを探っているような感じに仕上がっていますが、本当の正解はわからないし、それぞれの夫婦で答えは違うものだろうと思います。

映画でも、妻の奇行のそもそものきっかけみたいなところは説明されますが、死んだふりをする本当のところ理由はよくわからないままです。まあ、それでいいのかもしれません。

ちょっと気になったのは、最初はテンポよくコメディ調だったのが、後半でテーマが重くなってコメディ部分が減って間延びした印象があるところ。どうせ正解がはっきりしないのですから、夫のリアクションもいろいろエスカレートさせ、テンポを上げてドタバタさせても良かったかも。

まぁ、可愛らしい榮倉奈々の様々なコスプレを楽しめばいいだけなのかもしれませんけどね。