2023年5月15日月曜日

SP 警視庁警備部警護課第四係 (2007)

実は過去にも取り上げているんですが、大変良く出来たドラマだと思うので、何度か見直しています。

もともとはフジテレビのドラマですが、2007年11月から年をまたいで2008年1月に放送された全11回。ただし、放送時間は土曜日の23:10-24:00という、ほぼ深夜帯。にもかかわらず、14~19%程度の高視聴率を獲得しました。

原案・脚本を手掛けたのは金城一紀。主演をした岡田准一と制作されるだいぶ前から、今までにないアクション物を作ろうと相談していたそうで、後に劇場映画が作られますが、そこまでのストーリーがしっかり最初から組みあがっていたことに驚きます。

金城はこの作品で成功し、後に「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」、「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」といった似たような傾向のドラマを作っています。近作は、綾瀬はるか主演の映画にもなった「奥様は、取り扱い注意」で、それまでの世界観を一家庭に移し替えて驚かせました。

全体の総監督となっているのが「踊る大走査線」を大ヒットさせた本広克行で、「踊る~」ほどではない遊びが随所に見られるのはご愛敬。演出したのは 波多野貴文と藤本周の二人。菅野祐悟のスタイリッシュな音楽、特にテーマ曲は多くの人の記憶に残りました。

警護課第四係の係長は尾形総一郎(堤真一)で、まさに冷静・沈着で仕事一筋という頼れる上司。SPの任務は、場合によっては身を挺して警護対象者の身を守ることなんですが、命の危険に晒されるだけというのを問題視して、上としばしば衝突しています。

部下はベテランの石田(神尾佑)、男勝りの笹本(真木よう子)、やや体型に難がある山本(松本諭)の三人。そこへ尾形自らリクルートした井上(岡田准一)が加わるところから物語がスタートします。

初回のEpisode I は、東京都の女性知事(大場久美子)を襲撃しようとする犯人を察知して井上が逮捕するという活躍の話。逮捕した井上が尾形に「このあとどうすればいいでしょうか」と尋ねると、尾形は「犯人を逮捕したSPはお前が初めてなので、とうしたらいいかわからん」と答えます。井上にはシンクロと呼ばれる一種の特殊能力があり、驚異的な記憶力・直観力・推察力があることが紹介されます。

Episode II (第2~4話)は、元首相が手術を受けている最中に病院がテロリストの占拠され脅迫される話。首相の警護に当たっていた井上と笹本を中心に、テロリストを撃退していくところがかっこいい。

Episode III (第5~7話)は、地検特捜部が捜査中の大型証券取引事件の証人が警備対象者。口を塞ごうと暗殺者が迫って来ますが、SPを信用せず放漫な非協力的な態度でSPを困らせます。最終的に地検が起訴を断念したため、SPは任務終了となりますが、殺されるとわかっているのに警備対象者を放り出すことの是非が問われました。

Episode 0 (第8話)は、井上がSPになった動機の話。こどもの時に、現在首相となった浅田を衝撃した男によって両親が刺殺されたことが紹介され、そのトラウマが井上の脳に大きなストレスとなってシンクロを引き起こしているのです。井上は、事件直後に浅田が薄笑いしたことがずっとひっかかっています。井上は尾形に「自分のような境遇のこどもが増えないためにSPを目指した」と話します。

Episode IV (第9~11話)は、イベント会場で浅田首相の警護に当たる第四係の前に、都知事を襲おうとして証拠不十分で釈放された犯人、出所して警察官を襲い銃を手に入れたかつて浅田を襲った犯人西田(平田満)が現れます。しかし、首相は謎の狙撃者によって狙撃されるも、模擬弾で首相の胸は赤い染料で染まるだけでした。西田は混乱に乗じて首相に近づき銃を向けましたが、身を挺して浅田を守る井上を思い出します。

続けざまに起こるテロ行為に、今のような守るだけのSPでは対応が不十分であることを訴える尾形。公安の捜査員(野間口徹)らは続けざまに起こるテロ事件は、警備情報を漏洩した警護課理事官、西島(飯田基祐)の関与を疑い自宅に踏み込みますが西島は拳銃で自殺(にみせかけて)していました。

新しく赴任した若い理事官、梶山は尾形に廊下ですれ違い際に「西島さんは残念でした」と話し、尾形は「大義のためにはしかたがない」と答えます。シンクロによってその会話を聞きとれた井上は尾形に対する疑念が膨らんでいくのでした・・・というところで連続ドラマは終了。

2008年4月に追加の新撮を加えたスペシャル・ドラマがEpisode IVex として放送されました。これはここまでのEpisodeを、井上が公安の取り調べを受ける形でおさらいする2時間半のダイジェスト版です。発売されたDVD、ブルーレイのBOXに収録されました。全部見直すのは面倒という方は、このスペシャル・アンコール特別編でも映画につながっていく伏線はすべておさえることができます。