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2023年7月17日月曜日

バーティカル・リミット (2000)

アメリカ映画らしく、ド派手な山岳アクション映画です。公開当時、テレビで絶壁の大ジャンプのシーンがCMで流れまくったので覚えている人もいるんじゃないかと思います。

主人公は兄と妹。登山中に父親を死なせたトラウマを抱えているという設定。兄のピーター・ギャレット(クリス・オドネル)は、山岳写真家となり登山からは遠ざかり、妹のアニー・ギャレット(ロビン・タニー)は著名な登山家として活躍するようになりました。

アニーは、自分の企業宣伝のためにK2登山を計画したエリオット・ボーン(ビル・パクストン)の隊に参加します。たまたま仲間がケガをしたため、ピーターは彼らのベース・キャンプに退避したため、アニー、ボーン、著名な登山家トム・マクラーレン(ニコラス・リー)らが出発するのを見送るのでした。

しかし、予想と違い天候が急速に悪化したため、トムは下山を進言しますが強引なボーンに押し切ら気てしまいます。仲間が倒れていく中、アニー、ボーン、トムの三人はクレパスに転落し雪崩によって閉じ込められてしまうのでした。

無線で事態を理解したピーターは、パキスタン軍からニトログリセリンを譲り受け、クレパス周囲の雪氷を爆破して取り除くことを考えます。決死の志願者と共に遭難場所に向かいますが、三人が高山病で肺水腫を起こすことから命のタイムリミットは22時間。しかし、普通に登っては間に合わない。

ピーターは、最短ルートを知るベテラン・ガイドのモンゴメリー・ウィック(スコット・グレン)に同行を依頼します。ウィックの妻は、かつてボーンの登頂のガイドをしていて亡くなっていました。途中で、ウィックは妻の凍死体を発見し、ボーンが妻を見捨てたことを確信します。

6人で救助に出発するも道中は難攻し、雪崩やニトログリセリンの暴発によって、ピーター、看護師のモニク・オーバーティン(イザベラ・スコルプコ)、そしてウィックの三人だけが、やっと目標地点に到着したのです。

90年代以降、世界の名峰を制覇するには莫大な費用がかかることから商業登山と呼ばれる、スポンサー付きの挑戦がしばしば行われるようになりました。そのため、十分な登山経験が無くても山に入り、1996年のエヴェレスト大量遭難事故などが引き起こされていたのです。

この映画では、ザイルにぶら下がった状態で全員が墜落死するか、下の者が犠牲になってザイルを切るのかという登山家にとって究極的な状況がテーマとしてあります。また二次遭難によって、さらに多くの犠牲者を出すことを是とするのか非とするのかという問題もある。多くの山岳映画は煮詰めれば、だいたいこのあたりに行き着くと言うことができます。

ただし、ここでは他人を犠牲にして生き残ろうとするボーンという、およそ登山家の風上にも置けない人物と、密かにボーンの本性を暴こうとするウィックという二人をからめることで、サスペンスとしての面白みを強くしている点が特徴的です。

ただし、ニトログリセリンを持ち出すところからして、かなり無謀な展開であることは間違いなく、ロケ主体の本物の臨場感を持った雪山アクション映画として楽しむのが正しいように思います。