2023年7月18日火曜日

ホワイトアウト (2000)

雪に閉ざされた、ある意味密室状態の日本最大のダムを舞台にしたクライム・サスペンス。原作は真保裕一、監督は若松節朗。ホワイトアウトとは、吹雪によって周囲の視界が極端に悪くなり、自分の居場所が識別できなくなる状態のこと。

日本最大の貯水量を誇る新潟県奥遠和ダムのスタッフ、富樫輝男(織田裕二)はダムの近くの遭難者の救助に同僚の吉岡和志(石黒賢)と共に向かいます。しかし、猛吹雪の中、ホワイトアウトが発生し吉岡が亡くなりました。

3か月後、吉岡の婚約者、平川千晶(松嶋菜々子)は、吉岡を理解するため奥遠和を訪れますが、そのタイミングでテロリストグループの襲撃を受け、他の運転員らと共に制御室に監禁されてしまいます。テロリストの中心人物は部隊長の宇津木(佐藤浩市)、ブレインの笠原(吹越満)、暴力的な戸塚(橋本さとし)ら。彼らはダムとの交信手段をすべて遮断し、特殊な無線によって50億円を要求してきました。

たまたま外の巡回に出ていた富樫は異変に気付き、ダムに戻りますがテロリストの攻撃に遭い、事態を把握します。吉岡を亡くしたことで、今度は仲間を置いていかないと決意した富樫は、知り尽くした発電所内で密かに戦いを始めるのです。

戦闘訓練を受けたことが無いのに富樫が頑張り過ぎるという批判的な意見も多々あります。映画という限られた時間内で、ヴィジュアルとして富樫の地の利を見せることはそれなりに行われており、映画としての大袈裟感はありつつも必ずしも嘘とまでは言えないところで描いているように思います。

宇津木の仕掛けたトリックは、知った上で見てもちょっとわかりにくい。笠原、戸塚らの会話にヒントがあったりしますが、あまり親切とは言えません。そのあたりも、評価が分かれるポイントになっていそうです。

奥遠和ダムは、原作では奥只見ダムがモデルとなった架空のもの。実際の撮影は黒部ダムが使用され、ロケはかなり過酷だったようです。CMで印象的だった、マシンガンを持つ松嶋菜々子、運転員の高橋一生の若い姿も今となっては見物かもしれません。