世界的に大ヒットとなった、エイドもののベストと言えばマイケル・ジャクソンとクインシー・ジョーンズが主導した''We Are The World''(1985)につきます。
グループ名は''USA for Africa''となっており、この企画は当時のアフリカの飢餓と貧困層の解消を目的としたチャリティでした。
何しろ登場するメンバーが凄すぎる。80年代のアメリカの音楽シーンで、活躍する思いつく有名人でいない人のほうが少ないという感じでした。
それまでのエイドものは有名アーティストが集まってコンサートを開くという形態が主でしたが、ここではこのための楽曲を新たに作り、全員で歌うと言う完全な共同作業であったことが画期的だったのです。
この時代、マイケル・ジャクソンは絶頂期であり、そのプロデューサーとして辣腕を振るったクインシー・ジョーンズの二人の力と人脈の凄さが、これだけの人を集められたわけです。また、彼らが作った曲じたいも素晴らしく、自然と盛り上がって感動したものでした。
もうひとつ素晴らしいところは、20人ほどのソロパートを歌う歌手たち。それぞれが数小節ずつにもかかわらず、各人の特徴がよく出た歌いまわしで、 聴いていて次から次へと出てくるアーティストを聞き分けるのが大変に楽しい。
この頃から普通になりだした、プロモーション・ビデオの存在も、そういった楽しみに拍車をかけました。これだけのビッグネームを一度に集められるわけが無いと考えるところで、どうせバラバラに収録したんだろうと思ってしまいがち。ところが、ビデオで全員が集まっているシーンを見て、これはものすごい事だとあらためて実感したものです。
後にマイケル・ジャクソンが一人で歌った、デモ用のバージョンが公開されましたが、彼には申し訳ないのですが、やはり大人数で盛り上がるこっちのほうが数段よいと思います。
一応、ソロをとる歌手をあげてみると、
ライオル・リッチー、スティービー・ワンダー、ポール・サイモン、ケニー・ロジャース、ジェームス・イングラム、ティナ・ターナー、ビリー・ジョエル、マイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロス、ディオンヌ・ワーイック、ウィーリー・ネルソン、アル・ジャロウ、ブルース・スプリングティーン、ケニー・ロギンス、スティーブ・ペリー、ダリル・ホール、ヒューイ・ルイス、シンディ・ローパー、キム・カーンズ、ボブ・ディラン、レイ・チャールズ。
80年代の洋楽ファンだったものなら、そのまま土下座して謝ってしまうほどのメンバーです。