1970年の「大空港(Airport)」の正規の続編・・・とは言っても、前作のグランドホテル形式の空港に集まる様々な人々の人間ドラマは影を潜め、当時ブームになっていたパニック・サスペンス調を押し出した作品になりました。
もともとの原作はアーサー・ヘイリーによるものでしたが、本作ではヘイリーは無関係。前作で整備士だったパトローニだけが続投されましたが、他の登場人物は一新しています。監督はテレビ出身のジャック・スマイトです。
コロンビア航空409便はロサンゼルスに向けてダレス空港を離陸します。搭乗客は女優のグロリア・スワンソン(本人)、腎移植を受ける予定の少女ジャニス(リンダ・ブレア)、修道女ルース(ヘレン・レディ)、コロンビア航空の重役パトローニ(ジョージ・ケネディ)の妻子らです。
濃霧のためやむを得ずソルトレイクに着陸することになりましたが、そこへ続いて着陸を予定していた小型機がパイロットの急病により、機首を変え空中で409便と正面衝突してしまいました。操縦室の上が大破し、副操縦士は機外に放り出され、機関士は死亡、機長も重傷になり自動操縦のスイッチを入れるのが精一杯でした。
CAのナンシー(カレン・ブラック)は、パイロットに代わって操縦席に座り、ベテラン・パイロットである恋人のマードック(チャールトン・ヘストン)から無線指示により何とか機体を安定させます。しかし、無線システムがダウンしてしまい、連絡が取れなくなったナンシーの目前には飛行機の高度よりも高い山が迫っていたのです。
ナンシーは、それまでの操作法と機長のアドバイスにより、何とか高度を上げることに成功します。マードックとパトローニは、空軍のレスキューに出動を要請し、ジェットヘリからパイロットが乗り移る作戦を開始します。燃料漏れも起こしている409便に残された時間はわずかでした。
結局人間ドラマは形式だけで、登場客の紹介の域を超えていません。にも拘わらず、そこだけで100分の映画の30分以上費やされるので、事件が発生するまでは正直に言うと退屈。全カットでも構わないくらいです。
ただし、事故が発生してからのスリルはかなりのもの。そもそも素人にジャンボ・ジェット機を操縦できるわけないと思いますが、あくまでも指示通りにやる範囲を超えないので、設定としては無理は感じません。無線が使用不能になっても機長のサジェストがあってのことなので、まぁ必死になれば可能だろうと思いました。
であれば、何とか無線に代わる連絡手段を使って、そのままナンシーが自力で着陸させて何とか全員助かったというのもありかなと思います。ジェットヘリ(300km/h以下)からジャンボ(800km/h以上)にパイロットが乗り移るというのはかなり無理があるし、実際最初のレスキュー隊員は失敗して飛んで行ってしまうという可哀そうな結果になっています。
まぁ、公開当時はさそれなりに話題になった映画ですし、あまり「続編」というような気持で見なければ、標準的なレベルで楽しめる作品に仕上がっています。