2023年10月17日火曜日

探検隊の栄光 (2015)

元はと言えば、荒木源の小説なんですが、ほぼ「川口浩探検隊」のパロディというか、内情暴露映画で、よくもまぁ藤原竜也が主演したものだと、変な意味で感心してしまいます。

川口浩はもともとは、名門芸能人一家のしっかりとした硬派の印象の俳優さん。昭和人には「キーハンター」でおなじみ。それが昭和52年、テレビ朝日の「水曜スペシャル」に登場した探検隊シリーズが人気を博し、10年近くに全43回放送されたというから驚きます。

毎回秘境に赴き幾多の危険を顧みずに謎の生物などを探すのですが、もっともこれはすべて過剰な演出であって、最初から謎なんか無いことはわかって視聴者も楽しむのがお決まりでした。

「驚愕! 三つ首の巨獣ヤーガはベラン共和国秘境洞穴に実在した!」のテレビ企画の探検隊隊長役をすることになっている俳優の杉崎(藤原竜也)は、現地に先入りしていたスタッフと顔を合わします。プロデューサーの井坂(ユースケ・サンタマリア)、ディレクターの瀬川(小澤正悦)、カメラマンのの橋本(田中要次)、音声・証明の小宮山(川村陽介)、ADの赤田(佐野ひなこ)、そして現地通訳のマゼラン(岡安章介)らは、勝手がわからない杉崎を気にせずさっさと出発するのです。

杉崎は市場で怒鳴っている村人に近づくように言われますが、内容と関係なく「ヤーガは恐ろしい!! 近寄ってはダメだ!!」というナレーションがかぶせられていきます。占い師らしき老婆がいると、同じように「ヤーガを守る3つの守り神を見つけよ。聖なる戦が行われれば神々の化身が姿を現す」とナレーションがつけられます。

ついに巨大洞窟に到着し、杉崎もこの番組制作の意図がわかってきたところでした。ところが、何とそこは現地反政府ゲリラ組織がアジトにしていた場所だったのです。カメラを持っていたので政府側のスパイと勘違いされます。

録画してきたテープを踏みつけられてしまった杉崎は、くだらないことだがこの映像を撮るためにどんだけ本気でやっているか大演説。その結果、ゲリラたちは、ヤーガの守り神の原始猿人役をやることに。ところが、そこへ政府軍がやって来るという情報にヤーガどころではなくなってしまいます。 

探検隊のフィナーレを飾るべく、彼らは急場づくりの偽物の巨大蛇を作り政府軍を驚かして、あわてふためくところを撮影しようとするのでした・・・が、その時!! 何と本物の・・・

ぶっちゃけ、こんなにくだらない話に、お金を出して映画館に行くというのは・・・よほど、テレビの探検隊シリーズにはまっていた人くらいかと。まぁ、後からビデオで見てる自分も同類みたいなもんですが。

ここまでくだらなさに振り切っているなら文句のつけようがありません。出演者は、少なくともこの映画に出たことで名声を得られることは・・・無い。にもかかわらず、よくぞ頑張りました、パチパチ。