2023年10月15日日曜日

バクマン。 (2015)

前年に敵味方に分かれ死闘を繰り広げた佐藤健と神木隆之介が、タッグを組んでマンガ家を目指すというだけで、実に興味をそそられる映画です。

原作は2008~12年に少年ジャンプに連載された大場つぐみのマンガで、映画化に当たっても集英社のジャンプ編集部がかなり協力しているようです。監督・脚本は主としてテレビで活躍する大根仁。なお音楽はSAKANACTIONが担当しています。

高校生の真城最高(佐藤健)は、クラスの亜豆美保(小松菜奈)をモデルしたイラストを書き溜めていました。偶然にそれを見たマンガ家志望の高木秋人(神木隆之介)は、自分はストーリーを作るのは自信があるが絵がだめなので、一緒にマンガを描こうと誘います。最高は声優志望の亜豆と、自分たちのマンガが世に出たらヒロインの役をやってもらうことを約束します。

二人は出来上がった作品を持って少年ジャンプ編集部に乗り込みます。編集員の服部(山田孝之)は才能を認めるものの、たくさんのダメ出しをして二人に書き直しをするように言います。そして出来上がった作品は、手塚治虫賞のコンテストに出したところ、準優勝の成績を収めます。しかし、優勝は、同じく高校生マンガ家の新妻エイジ(染谷将太)でした。

ジャンプ王道路線では勝負できないと考えた最高と秋人は、高校生としての実物大の作品を提出し、ついに連載を勝ち取ることができました。ジャンプでは、毎週の読者投票による人気順位が分かる仕組みがあり、二人の作品は新妻を超えるどころか、じりじりと順位を下げてしまいます。

しかし、亜豆そっくりの美少女キャラを登場させたことで、順位が急上昇しついに読者投票で一位も獲得しました。そんな中で、毎週の締め切りに追われる無理がたたって最高は体調を崩し入院してしまうのです。

実際には、編集者にまったく見向きもされないマンガ家が履いて捨てるほどいるのでしょうから、これはあくまでも稀な成功例の話。世の中そんなにうまくいくわけがない。それでも、マンガ家として世に出るためにはどうすればいいのかという、一つの参考にはなりそうです。

ただ、ほぼマンガを読まない自分からすると、この手の業界の楽屋話についてはあまりピンとこない。マンガという一つの手段の中で、勝ち上がっていく「スポ根」という見方をすると、中心となる二人がよほどの天才でもない限り都合が良すぎる展開と思えてしまいます。

映画化するということは、原作ファン以外に、自分のような原作を知らない者も見ることになるので、マンガの成功法だけでなく人としての成長にももう少し重点を置いてほしかったというところでしょうか。