北海道に根を下ろした多くの作品をプロデュースし、北海道出身ののスター大泉洋と度々タッグを組んでいる伊藤亜由美の企画から生まれた、北海道の自然の美しさと厳しさを映画の中に落とし込んだ作品。
北海道、洞爺湖西岸に実在するゴーシュという喫茶店がモデルになっていて、ロケもこの店を中心に行われました。監督・脚本は三島有紀子、原田知世と大泉洋のW主演で、1年近くかけて四季の景色を映しこみました。
水縞尚(大泉洋)とりえ(原田知世)の夫婦は、洞爺湖を望む高台にロッジを経営し、1階のカフェ・マーニには尚が焼くパンとりえが淹れるコーヒーが名物となり、ちょっと変わった常連客がたむろするようになりました。
夏のある日、彼に旅行をドタキャンされた香(森カンナ)がやってきます。たまたまやってきた常連の時生(平岡佑太)にも香は酔った勢いで絡みますが、水縞夫妻のもてなしと時生の優しさによって、しだいに本当の幸せに少し気がつくのでした。
秋のある日、父親(光石研)と暮らす小学生の未久(八木優希)が店にやってきました。未久は一人で過ごす時間ばかりで、父親とも話をする時間がほとんどありません。りえは未久の気持ちを察して、父親と二人の食事をセッティングします。
冬のある日、吹雪の中、坂本夫妻(中村嘉葎雄、渡辺美佐子)がやってきます。二人は生きていく希望を失い、新婚の思い出の地にやってきたのです。尚とりえは、二人の不審な雰囲気を察して、人生に楽しみがあふれていることをあらためて気がついてもらえるよう仕向けるのでした。そして春がやって来るのです・・・
終始、北海道の景色を背景に、水縞夫婦の温かさがゆったりと流れる時間の中に描き出されています。大きな事件が起こるわけではありませんが、見終わって何となく気持ちが優しくなれる気がします。
大泉洋もここではギャグを封印して、素敵な大人を演じているのですが、これはこれで一つのはまり役という感じがします。原田知世は相変わらずの透明感のある美しさで、映画の雰囲気をしっかりと代弁していました。