露伴と云えば幸田露伴・・・というのは昭和のおじさんの発想。平成・令和世代には露伴と云えばマンガの岸辺露伴らしい。ほとんどマンガというものを読まない自分としては、これが何者なのかまったくわからんちんなので、まずはググってみるしかない。
元々は、荒木飛呂彦によるマンガ、「ジョジョの奇妙な冒険」の登場人物の漫画家が岸辺露伴。さすがにこのタイトルだけは聞いたことがある。この人物をメインにしたスピンオフ作品があるわけで、これらを天下のNHKが2020年から2022年にかけて9編のドラマに仕立て、最後は映画になった。
監督はドラマの演出にも関わったNHKの渡辺一貴、脚本は戦隊物や仮面ライダー物、そしてアニメ版「ジョジョの奇妙な冒険」の小林靖子。主演の露伴を演じるのは高橋一生。原作では一話のみの登場だった、飯豊まりえ演じる泉京花が相棒的な立ち位置で登場します。ドラマ・シリーズから、そこそこストーリーは改変しているにも関わらず、原作ファンからも高評価されているところが興味深い。
何とも神秘的なキャラクターの岸辺露伴の「超能力」と言えるのが、「Heaven's Door」というもので、これまでの人生をすべて文字に起こした本が相手の顔に浮き上がってくる。そして、露伴がそこに何かを書くと相手はその通りになるというもので、映画でも、この能力が大変重要な役割を果たしています。
岸辺露伴は美術品オークションに無名の画家、モリス・ルグラン作の真っ黒な絵が出品されていることを知り、会場へと足を運びます。その絵を競り落として持ち帰ると、オークションで執拗に値をつけてきた二人組の男たちに奪われます。絵の裏側には「ルーヴルで見た黒。後悔」とフランス語で書かれていました。
露伴は、マンガ家としてデヴューする直前に、居候していた祖母の家の下宿人であった奈々瀬(木村文乃)のことが頭によぎるのでした。露伴の描く絵を見た奈々瀬は、江戸時代の画家、山村仁左右衛門が書いた最も黒い絵がルーヴルにあると言っていたのです。しかし、深く悲しみをたたえ、時に激しい感情を隠さない奈々瀬は突然消えてしまったのです。
パリに飛んだ露伴と露伴の担当編集者の泉京花は、早速ルーヴル美術館に足を運び、通訳のエマ、鑑定士の辰巳(安藤政信)らと今は使われていないはずの古い倉庫に向かいます。そして、ついに漆黒の女性の絵を発見するのですが、そこにいる誰もが他人には見えない何かによって襲われていくのでした。
まず、この映画で特徴的なのはテンポ。実にゆったりとしていて、一見、抽象的なイメージ映像みたいなところがたくさんあります。時間の無駄と思えそうな感じですが、この言葉にしない映像表現の使い方が、ストーリーの一翼を担っているわけで、非現実的な展開に「本物らしさ」を加えることに成功しているようです。
また、何かが起こる過程から、起こる瞬間は省いて結果だけをゆっくり見せるのも、神秘性を目立たせて「本物らしさ」を感じさせます。つまり、「本物」を見せたいわけではなく、このストーリーの世界観に共感できるようにしているということ。
ただし、原作なりアニメ版は知らなくてもいいかもしれませんけど、やはりドラマ版は一つでも二つでも見ておいた方が映画に入りやすいのかなというのはある。不親切とまでは言いませんが、独特の世界観なのである程度の予備知識は有るに越したことは無いようです。
元々は、荒木飛呂彦によるマンガ、「ジョジョの奇妙な冒険」の登場人物の漫画家が岸辺露伴。さすがにこのタイトルだけは聞いたことがある。この人物をメインにしたスピンオフ作品があるわけで、これらを天下のNHKが2020年から2022年にかけて9編のドラマに仕立て、最後は映画になった。
監督はドラマの演出にも関わったNHKの渡辺一貴、脚本は戦隊物や仮面ライダー物、そしてアニメ版「ジョジョの奇妙な冒険」の小林靖子。主演の露伴を演じるのは高橋一生。原作では一話のみの登場だった、飯豊まりえ演じる泉京花が相棒的な立ち位置で登場します。ドラマ・シリーズから、そこそこストーリーは改変しているにも関わらず、原作ファンからも高評価されているところが興味深い。
何とも神秘的なキャラクターの岸辺露伴の「超能力」と言えるのが、「Heaven's Door」というもので、これまでの人生をすべて文字に起こした本が相手の顔に浮き上がってくる。そして、露伴がそこに何かを書くと相手はその通りになるというもので、映画でも、この能力が大変重要な役割を果たしています。
岸辺露伴は美術品オークションに無名の画家、モリス・ルグラン作の真っ黒な絵が出品されていることを知り、会場へと足を運びます。その絵を競り落として持ち帰ると、オークションで執拗に値をつけてきた二人組の男たちに奪われます。絵の裏側には「ルーヴルで見た黒。後悔」とフランス語で書かれていました。
露伴は、マンガ家としてデヴューする直前に、居候していた祖母の家の下宿人であった奈々瀬(木村文乃)のことが頭によぎるのでした。露伴の描く絵を見た奈々瀬は、江戸時代の画家、山村仁左右衛門が書いた最も黒い絵がルーヴルにあると言っていたのです。しかし、深く悲しみをたたえ、時に激しい感情を隠さない奈々瀬は突然消えてしまったのです。
パリに飛んだ露伴と露伴の担当編集者の泉京花は、早速ルーヴル美術館に足を運び、通訳のエマ、鑑定士の辰巳(安藤政信)らと今は使われていないはずの古い倉庫に向かいます。そして、ついに漆黒の女性の絵を発見するのですが、そこにいる誰もが他人には見えない何かによって襲われていくのでした。
まず、この映画で特徴的なのはテンポ。実にゆったりとしていて、一見、抽象的なイメージ映像みたいなところがたくさんあります。時間の無駄と思えそうな感じですが、この言葉にしない映像表現の使い方が、ストーリーの一翼を担っているわけで、非現実的な展開に「本物らしさ」を加えることに成功しているようです。
また、何かが起こる過程から、起こる瞬間は省いて結果だけをゆっくり見せるのも、神秘性を目立たせて「本物らしさ」を感じさせます。つまり、「本物」を見せたいわけではなく、このストーリーの世界観に共感できるようにしているということ。
ただし、原作なりアニメ版は知らなくてもいいかもしれませんけど、やはりドラマ版は一つでも二つでも見ておいた方が映画に入りやすいのかなというのはある。不親切とまでは言いませんが、独特の世界観なのである程度の予備知識は有るに越したことは無いようです。