2024年9月16日月曜日

メゾン・ド・ポリス (2019)

風変わりな警察物・・・というか、元警察官のおじ様たちに巻き込まれあたふたする新人女性刑事の活躍を描くTBSの連続ドラマ。原作は「警視庁アウトサイダー」の加藤実秋の小説。「ストロベリーナイト」でタッグを組んだ黒岩勉が脚本、佐藤佑市が中心となって演出にあたりました。

柳町北署の新人刑事牧野ひより(高畑充希)は、5年前と同じ手口の殺人事件の捜査のため、以前の捜査を担当していた夏目惣一郎(西島秀俊)に話を聞くため、現在彼が住んでいる元警視庁副総監、伊達有嗣(近藤正臣)の家を訪ねます。

そこは、元柳町北署の捜査一課で辣腕を振るった迫田保(角野卓造)、元警務課員の高平厚彦(日小日向文世)、そして元科学捜査研究主の藤堂雅人(野口五郎)らが一緒に住むシェアハウスとなっていて、彼らはその場所をメゾン・ド・ポリスと呼んでいました。5人の警察OBは、何かと相談事を持ち込むひよりをひよこと呼んで、刑事のイロハを教え込んでいくのでした。

建築会社に働いていたひよりの父は、20年前に現場で転落し不審死を遂げていました。伊達や藤堂は、ひよりの父の死について何かを隠していました。3年前に警察を辞めた夏目も、当時同じ会社であった不審死に何か関係があるらしい。

少しずつ事件の真相に近づいていく彼らでしたが、警察内部の内通者の存在と会社と警察の癒着という巨悪の前に、次第に危険が迫っていたのです。

全10話で、最初の7話までが一話完結で、事件を解決してひよりが次第に刑事らしくなっていく様子を、時にコミカルに、そして時にシリアスに描いています。そして、最後の3話が少しずつ小出しにしていた巨悪との本格的な対決に集中して、なかなか見応えのある展開になっています。

メゾン・ド・ポリスの面々は、今では捜査権も逮捕権もない一般市民ですが、そこは現職刑事がいることで何とか昔取った杵柄で活躍できるということで辻褄は合わせてある感じ。細かい突っ込見所はありますが、そこはあまりリアリティを求めすぎないことが、こういうストーリーでは楽しむコツみたいなものです。

2024年9月15日日曜日

未解決の女 警視庁文書捜査官 (2018)

原作は「殺人分析班」シリーズの麻見和史の「警視庁文書捜査官」シリーズの小説。「カイジ人生逆転ゲーム」の大森美香が脚本を担当してテレビ朝日がドラマ化しました。主人公は女性で、捜査一課科学捜査係文書解読班主任、鳴海理沙警部補(鈴木京香)。実働するワトソン役に男性の矢代朋彦巡査部長と女性の夏目静香巡査と原作ではなっていますが、ドラマ化にあたっては二人のワトソン役を両者を合わせたような矢代朋(波留)に集約されています。

2009年に時効廃止となったことを受けて、未解決となっている事件の掘り起こしのため警視庁捜査一課に設けられたのが捜査資料などの文書を整理・分類するための文書解読班で、地下の奥深くの書類倉庫が彼らの仕事場。

係長の財津(高田純次)は、淡々と書類整理をして定時で必ず帰る。主任の草加(遠藤憲一)も無駄口を叩かず、せっせと自分の仕事だけこなすタイプ。対人関係が苦手な鳴海は、文書解読のエキスパートで、捜査資料の行間からしばしば真実を掘り起こした実績から、捜査一課の面々に「倉庫番の魔女」と呼ばれていました。

強行犯の担当だった矢代朋は、捜査で大けがをしたため文書解読班へ配置換えになってしまいます。当然、倉庫でもやもやしているのは性分に合わないので、上から依頼された書類に目を通していて疑問を感じると、自分の足で動いて確かめずにはいられない。

時には本来書類倉庫から表に出ない仲間を引き連れて、独自に捜査をしたりするのですが、その結果得られた新たな情報を加えると、鳴海は「文字の神様が下りてきた」と言って謎を解明するのでした。

同じネタを使いまわすのが得意なテレビ朝日ですから、2019年に2時間枠のスペシャル・ドラマ、そして2020年にSeason 2を製作していますので、それなりに視聴率が取れたということのようです。

波留の刑事役は初めてではありませんが、正直、あまり向いている役柄とは思えない。刑事らしい鋭さがあるわけではないし、だからと言って「女性らしさ」を前面に出してくる感じでもない。アクションもお世辞にも上手とは言えません。鈴木京香はぴったりの役柄ですが、どちらかというと波留メインで物語が進行するので、主役としての色が薄い印象です。

本来は文書だけから事件を解決する「安楽椅子探偵」のニュアンスがあるはずのタイトルですが、結局は足でかせぐ通常の刑事ドラマみたいになってしまい、一番の特徴的な設定が生かし切れていない感じがします。

2024年9月14日土曜日

ダブルフェイス (2012)

香港映画「インファナル・アフェア(2002」を原案とした、TBSとWOWWOWの共同製作によるスペシャル・ドラマで、2回の2時間枠で前編「潜入捜査」、後編「偽装警察」が放送されました。

いわゆる警察物とは一線を画する内容で、「海猿」シリーズの羽住英一郎が監督、「フラガール」の羽原大介が脚本、音楽は「SP 警視庁警備部警護課第四係」の菅野佑悟が担当しました。

森屋純(西島秀俊)は、織田大成(小日向文世)が率いる暴力団織田組の若頭補佐ですが、実は神奈川県警の警部補で、小野寺警視正(角野卓造)の命を受けて6年前から織田組に潜入していました。一方、神奈川県警刑事部の高山亮介警部(香川照之)は、もともと織田に拾われた恩義により織田組に情報を流すために警察官になっていたのです。

織田組の薬物売買の大きな取引で、場所や日時を小野寺に伝える森屋。そして高山は捜査状況を逐一織田に流すことで、取引に失敗した織田と一味を壊滅できなかった小野寺は、それぞれ内部に情報提供者がいることに気がつきます。

森屋は長年の潜入捜査で、警察に戻れるのか、そしていつ正体がばれて抹殺されるのかという不安から、次第に本当の自分の「顔」を失いつつあったのです。そして、偶然知り合った精神科医の西田奈緒子(和久井映見)に、心の不安を相談するようになっていました。

しかし、織田組によって小野寺が惨殺されます。唯一の自分の本来の姿を知っていて、警察官に戻すことができる小野寺を失ったことに森屋は深い絶望を感じるのでした。しかし偶然に、織田組しか知らないはずの書類を高山が持っていることを発見した森屋は、高山こそが警察の裏切り者であることを確信します。

織田は、国会議員の娘で奔放な生活を送る万里(蒼井優)に近づいて薬物中毒にしてこちらの役に立つようにしろと高山に命令します。しかし、万里の面倒を見ているうちに、高山もまた自分の本当の「顔」を失っていることに気がつくのでした。

森屋は高山にすべてを自白させ自分の本当の姿に戻ろうとするのですが、そこに待っていたのは・・・

それぞれが2つの顔を持ち、しだいにどちらが本当の自分なのかわからなくなり苦悩するという内容。そして、結末は・・・まったく救いの無いものなので、見終わっても気持ちが暗くなるだけです。登場人物は、誰一人として幸せにはならないという、かなり割り切った内容です。

それが好きな人はどうぞ、という感じなのですが、やはりどこかにホッとする部分は残してほしかった。どのような立場であっても、潜入者は心的・肉体的な重荷を背負うだけということを言いたいのだと思いますが、見ているものの気持ちに寄り添う部分が少しでも無いと共感は得られにくいように思います。

西島・香川という組み合わせの作品は他にもありますがこれが初共演。どうしてもこの二人が出てくると明るい話にはなりません。ただし、二人ともさすがに名優ですから、暗さは倍増されます。

小日向文世はコミカルな役、まじめな役も実にうまくこなす俳優さんですが、今回のような怖い役も完璧。角野卓三は、ある意味織田と合わせ鏡のような存在の怖い役なのは珍しいかもしれません。

2024年9月13日金曜日

落書き


クリニックの最寄り駅は、横浜市営地下鉄センター南駅。

駅の南側の高架下の壁に落書きがあるのに気が付きました。

左側に3文字。左から「坊・南・生」と書かれているんでしょうか。ちょっと意味は不明ですが、もしかしたら自分のサインなのかもしれません。

右側はわかりやすい。

「男で生きたい」
「男で死にたい」
「男になりたい」

ここで出てくる「男」というのは、生物学的な男性ではなく、いわゆる男らしい「男」のことでしょう。

何をもってして「男」とするのかは、いろいろ意見が出るところではありますが、まぁこんなところに落書きしているようじゃねぇ・・・

2024年9月12日木曜日

セブンのおにぎり 46


このネタもそろそろ初めて2年近くなるんですけど、最近は出尽くした感があります。全くの新作というのは、作る側もそうそう思いつくもんじゃない。

最近は、だいたいがアレンジ物で、あーこれ、以前似たようなのがあったなぁ、という感じ。

今回は「天タレまぶし」と「ドライカレー」で、どっちも過去に幾度となく手を変え品を変えて登場してきました。

企画する方もいろいろと苦労しているようで、目新しさを出しているポイントは「漬物付」というところ。

「天タレまぶし」には紅生姜、「ドライカレー」には福神漬がのせてあります。それぞれにぴったりなので、違和感はなくそれなりに味をアクセントを加えているのは評価できるところです。

最近の物価高に対するセブンのアピールである「うれしい値!」シリーズとして登場したので。それぞれ110円(税抜き)というのは高ポイントです。

ただし、安い分中身に具は入っていませんのであしからず。

2024年9月11日水曜日

パラリンピックで思ったこと


先週末に、パリで開かれていたパラリンピックが終了しました。いろいろ日本の選手たちも頑張った結果は、ニュースなどで伝わってきましたが、どうしてもオリンピックに比べると、パラリンピックの情報は需要も供給も低調と言わざるを得ません。

今回の大会で、注目された発言として、男女のテニス選手の発言があります。女子シングルスと女子ダブルスで金メダルを獲得した上地結衣選手は、出発にあたって「私はパラリンピックに参加しません。競争します。」と宣言しました。

これは、ただ出ればいいというものではなく、身体障害に関係なく競技者として勝利を目指すということだと思いますが、彼女が世間の目をどのように感じているかを端的に示したものなのかもしれません。

男子シングルスで金メダル、男子ダブルスで銀メダルを獲得した小田凱人は、出場試合のテレビ放映が無いことにがっかりした発言をしました。この発言を受けてか、急遽NHKが放送したということが話題になりました。

パラリンピックそのものに対する世間の関心の低さを憂いたわけですが、それでも二人とも最高の結果を残したことは、大変素晴らしい事だと思います。

正直、自分もパラリンピックに関心が高いとは言えません。オリンピックに比べると、ニュースなどを注目する割合はだいぶ下がってしまいす。ニュース量が少ないということもありますが、根本的に競技に参加できる条件がよくわからないというところがあります。

身体障害の程度は人様々で、例えば義足の短距離では、そもそも使用する義足の種類によっても能力差が歴然と出ることが想像できます。そこをどうやって同じ土俵で勝負するのかというも公平性がよくわからない。

脊髄損傷と言っても、脊髄のどの場所で麻痺が発生するかで、使える筋肉は大きな差が出てきます。背骨一個分違うだけで、可能なスポーツは変わってくるし、時にはスポーツそのものもまったくできないということだってあります。

また、自分も含めて少なくとも健康な人からすると、その障害があることでどれだけ大変なのかというのは理解が難しい。健康なアスリートとはまったく異なる努力があるだろうことは間違いないのですが、具体的に想像することはできないというのが本音です。

小田選手が「障害者でなくても車椅子テニスに参加」したらどうかというような発言もしていましたが、確かにパラリンピック競技を理解するための方法としては有効かもしれない。障害者としてくくられることは、彼らも本望ではないでしょうから、障害とかジェンダーとかのいろいろな問題を超えて、誰もが競い合うことが理想なのかもしれません。

2024年9月10日火曜日

dele (2018)

dele(ディーリー)はパソコンのキーボードにあるdelete(削除)のこと。もともと小説が原作で、作者は本多孝好。本多は金城一紀の友人で、金城の勧めで連続ドラマ制作を前提に書かれました。脚本は、本多本人をはじめ、金城、瀧本智行らが作りました。

弁護士の坂上舞(麻生久美子)の弟、坂上圭司(山田孝之)は車椅子で生活し、舞の事務所の地下で「dele.LIFE」という会社を経営していました。この会社は依頼人が死んだ場合に、一定時間スマホやパソコンが操作されなかったら、リモートでそれらの中に残るデジタル・データを削除する仕事をやっていました。

真柴祐太郎(菅田将暉)は便利屋をしていましたが、舞に気に入られて、圭司のアシスタントに就きます。仕事は動けない圭司にかわって、依頼人の死亡確認をすること。電話一本で片付く場合もありますが、出かけて行かないとわからないことも多い。

圭司は死亡確認が取れれば、キー一つを押すだけで簡単にデータを削除してしまういたってビジネスライクなところがあります。しかし、祐太郎は死んだ人にもいろいろな事情があって、時にはデータが残された人に大きな意味を持つこともあると主張し、本来見るべきではないデータを確認させてくれと主張するのです。

ネット配信系のドラマと比べると、深夜枠の比較的低予算で、出演者も多くはありません。しかし、とにかく内容が良い。原案・脚本がよければ、まだまだ地上波も捨てたものじゃないというところを見せてくれます。

何が良いかというと、一つ一つの「事件」にまつわる人間ドラマの掘り下げがするどくて、人の死はどんな場合も、大なり小なりドラマがあるということ。そのことは、ドラマにまつわる多くの賞を受賞したことが証明しています。

2024年9月9日月曜日

踊る大捜査線 THE MOVIE レインボーブリッジを封鎖せよ! (2003)

警察物、あるいは刑事物のドラマは山ほどあるわけで、数えたらきりがありません。自分の記憶では、最初に思いだすタイトル御三家は「特別起動捜査隊 (1961~1977)」、純粋に警察じゃありませんけど「東京警備指令 ザ・ガードマン (1965~1971)」、そして「キーハンター (1968~1973)」の3つ。

そのあと刑事ドラマの金字塔である「太陽にほえろ (1972~1986)」になるわけですが、さすがに毎年必ず殉職して入れ替わるのにはうんざりして次第に見なくなり、5年くらいしたらほとんど見なくなりました。「太陽にほえろ」のド派手版として始まった「西部警察」とか「大都会」はほとんど見ていません。

そして、1997年の「踊る大捜査線」まで時代は飛ぶんですが、連続ドラマは見ていませんでした。知ったのは、大ヒットした劇場用映画第2作の「レインボーブリッジを封鎖せよ」です。あの「レインボーブリッジ、封鎖できません!!」のやつです。所轄刑事VS警視庁の図式と、熱血漢青島とその仲間たち、そしてユーモアあふれるやり取りが見事に描かれていました。

近々、「踊る」は新しい映画が公開される予定がありますが、これは製作元のフジテレビの悪あがきという感じが否めません。やっぱり青島君が登場しない(らしい)「踊る」シリーズでは、片手落ちとごろか両手落ちという感じがします。

21世紀になって、単に刑事が走り回って事件を解決するというものは少なくなり、警察の中の専門部署に注目した作品や、刑事そのものの人間性が焦点になった多様なものが多くなりました。それぞれに味があって楽しみ方はいろいろですね。

2024年9月8日日曜日

CRISIS 公安機動捜査隊特捜班 (2017)

日本の国家警察の総本山は警察庁。そのトップに君臨するのは警察庁長官で、内閣総理大臣の承認のもと、国家公安委員会が任命します。警視庁(MPD)は東京都の警察のことで、警視庁のトップの警視総監は、警察庁長官より位は下になります。

警視庁には主として事務作業をする総務部、警務部以外に、実質的な警察活動をする部署が交通部、警備部、地域部、公安部、刑事部、生活安全部、組織犯罪対策部などが設置されています。よくドラマに登場するSATは警備部に所属する特殊急襲部隊です。一方、SITは刑事部捜査第一課に所属する特殊事件捜査係のこと。

公安警察として知られるのは、警察庁警備局公安課と警視庁公安部があります。警察庁警備局公安課は、その前身は戦前・戦中に「特高」として市民に恐れられた、いわゆる秘密警察みたいなもの。公共の安全・秩序を維持することが目的で、主として国家体制を揺るがす可能性がある事案に対処するのが主な活動となっています。その性質上、捜査は秘密裏に行われることがほとんどで、時には「違法」な手段も用いるとも言われています。

例えば「SPEC」は警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係というのが舞台になっていますが、実際には公安第四課までしかないので架空の部署になります。公安機動捜査隊は実際に存在していて、主にテロ事件の初動捜査や特殊な鑑識活動を行う公安部の執行部隊と位置付けられています。

「CRISIS」は、「SP」、「BORDER」に続く金城一紀が自ら原案・脚本を担当したフジテレビの連続ドラマ。初回の冒頭、約20分間の「Episode 0」というべき事件で公安機動捜査隊の目的、登場人物のキャラクターが視覚的に見事に描かれています。

警察庁警備局長の鍛冶大輝(長塚京三)は、通常の方法では対処できないテロ事案に対して公安機動捜査隊を創設しました。新幹線に乗った大臣に対する爆破テロの情報があり、特捜班班長・吉永三成(田中哲司)の指揮でメンバーは新幹線に乗り込みます。

ターゲットの写真を手に入れたサイバー分析担当の大山玲(新木優子)は、すぐに各人の携帯に情報を回します。無口でストイックな田丸三郎(西島秀俊)は、ターゲットを確認し爆弾を確保します。樫井勇輔(野間口徹)は、すぐさま匂いから爆弾の種類を特定し解体しました。

吉永がターゲットを取り調べ、もう一人仲間がいることが判明。大山がターゲットの携帯を解析し、頻繁に連絡を取り合う相手に吉永が電話をかけます。それに反応した人物を確認した稲見朗(小栗旬)は、相手を取り押さえますが持っていた時限爆弾はカウントダウンを始めていました。

新幹線の位置を正確に把握していた稲見は、タイミングを見計らって緊急停車ボタンを押し、川にかかった鉄橋で停車した車両から、犯人と爆弾と共に川に飛び込むのでした。警視庁公安総務課長の青沼祐光(飯田基佑)は、鍛冶に特捜班の行動は規格外だと言いますが、鍛冶は規格外の事件には規格外の彼らが必要なのだと説明して笑うのでした。

この事件を起こしたのは新興宗教集団で、田丸も関係性がある公安から送り込まれた人物とその妻、そして稲見の自衛隊時代の仲間が計画する国家テロとの戦いが全体を貫くテーマとして描かれ、毎回まさに手に汗握る展開となっつて目が離せません。

2024年9月7日土曜日

ST 警視庁科学特捜班 (2014)

これは日本テレビの単発のスペシャル・ドラマ。2007年の「SP 警視庁警備部警護課第四係」以後、この人気にあやかってか似たようなタイトルが増えました(もっと古いのもあるかもしれませんけど)。

原作は今野敏による警察小説で、テレビ・ドラマとはいえ「カイジ」シリーズで藤原竜也と縁が深い佐藤東弥が監督、「20世紀少年」や「GANTZ」を担当した渡辺雄介が脚本という本気モードのスタッフが揃いました。

警察物としては架空の特殊なチームが活躍する話ですが、STというのは「Science Taskforce」の略。科捜研に設立された捜査権を持つチームですが、集まったのはかなり癖の強いはみ出し者揃い。

リーダーは法医学担当で、極度の対人恐怖症という赤城左門(藤原竜也)で、基本的に自分のアパートから出てこない引きこもり。しかし、メンバーからは絶大な信頼を得ていて、ST室の会話はすべてリアルタイムで聞いています。

プロファイリング担当は青山翔(志田未来)で、秩序恐怖症(潔癖症の反対)のため周りが整然としていると頭が働かない。化学担当で、鋭敏な嗅覚と優れた身体能力を持つのが黒崎勇治(窪田正孝)で、極度の先端恐怖症で超がつくほどの無口。

スタイル抜群でボディコンスーツに身を包む結城翠(芦名星)は、離れていても聞き取れる高度な聴覚の持ち主で、閉所恐怖症。化学担当で僧侶との二足の草鞋を履くのが山吹才蔵で、不眠症です。

そして、あらたに警部としてSTを統率する役目を担ったのが百合根友久(岡田将生)で、警視庁の中で嫌われ者のSTに移動するのは荷が重かったのですが、どちらかというと潔癖症のメモ魔。経験の少なさから悩みますが、STを創設した三枝参事官(渡部篤郎)から「君にしかできない仕事をしてくれ」と励まされます。また捜査一課の叩き上げの菊川(田中哲司)も、少しずつSTに理解を示すようになります。

無差別銃乱射事件が発生し、死亡した被害者はヤクザの愛人だった女性。捜査本部が立ち上がり、STのメンバーも招集されますが、警視庁内で嫌われ者の彼らにはなかなか情報が伝わってきません。さらに第2、第3の殺人事件が発生し、STは独自に犯人の実態に迫っていくのでした。

百合根は間に入って、次第に自分の役割を理解するようになり、STのメンバーそれぞれの生きづらさを理解しつつ、捜査本部にも本気で物を言うようになっていきます。そして、ついに赤城は最終的な犯人像を特定し、百合根と菊川らは逮捕に向かうのでした。

映画としてみるとスケールはやや劣るのですが、単発ドラマとしては上々の出来。岡田将生の無理のないキャラ設定がツボにはまっている感じですし、特に志田未来の膨大な長セリフは見事としか言いようがありません。最後の美味しいところをもっていくのは、やっぱり藤原竜也で、これは美味しい役処という感じです。

さすがに単発で終わるのはもったいない面白い面々が集まっているなと思ったら、翌年「ST 赤と白の捜査ファイル」として連続ドラマとして帰ってきていました。気に入ったら、是非続けて楽しむことをお勧めします。

2024年9月6日金曜日

刑事ゆがみ (2017)

いわゆる警察物、あるいは刑事物と呼ばれるストーリーは、どうも単純に映画にするのは難しいのか、映画化されるのはどちらかというとキャラクターが際立つ悪人が主役の事が多いようです。警察を主役にすると、犯罪が起こる、警察が捜査を開始する、犯人が判明する、そして最後に大立ち回りがあって謎が解き明かされるみたいないつも同じ流れになってしまいがち。

となると、裏に全体を貫く謎を小出しにしながら、連続ドラマとして成立させた方が面白味があるというものです。とは言っても、以前は地上波テレビ局も予算がたくさんあって、壮大な設定の警察物を作ることができましたが、昨今はなかなか難しそう。制約が少ないNetflixやWOWWOWといった、配信ドラマ勢に良質のドラマをもってかれることが多くなりました。

これは井浦秀夫によるマンガが原作でフジテレビがドラマ化しました。二人の対照的な刑事が主役の、いわゆるバディ物で、いいかげんで違法捜査も厭わない弓神適当 -ゆがみゆきまさ- を浅野忠信、生真面目で正義感が強い羽生虎夫を神木隆之介が演じる凸凹コンビの活躍を描きます。

当然、こういうコンビですから、自然と笑いを誘う要素もありますが、事件の大小はあっても、毎回1話完結で事件を解決して進むのが基本。ただし、回を追うごとに少しづつ明らかになっていくのが、弓神が過去に関わった黒歴史で、全10話の最後の2話は特にこれの解明が中心となっています。

それは「ロイコ事件」と呼ばれているもので、7年前に夫婦が殺害され、犯人とされた小説家の横島(オダギリジョー)が焼身自殺したもの。横道が自分の小説になぞった連続殺人を行ったと言われ、事件を目撃したショックで夫婦の一人娘は記憶喪失となり、失語症になっていました。弓神は、その一人娘、氷川和美(山本美月)をずっと面倒を見ていて、コンピューター操作にたけていることから、しばしばハッキングなどにより弓神の捜査に協力していました。

ある日、横道の別の小説に酷似した殺人事件が発生し、死んだはずの横道が再び小説を現実のものとしようとしているとの疑いが生じます。そして、あらためてロイコ事件の調書を調べると、不自然な点が見つかるのでした。そして、その調書を作成したのは弓神だったのです。

ハードボイルドな浅野忠信が、実に楽しそうにいい加減な人物を演じているのが目新しい。神木隆之介も、まさに刑事然としているのもあまり見ない役柄です。オダギリジョーは、いつもの影があるはまり役。山本美月は声に出すセリフが基本的にありませんので、表情だけの演技というのも面白いところです。

謎の大きさとしては、それほど大々的なものではありませんが、バディ物としてはかなり極端に違うキャラクター設定が、さすがにマンガ原作と思わせ、それなりに興味深く見ることができる作品になっています。

2024年9月5日木曜日

時効警察 (2006)

警察が登場すると、何か殺伐としたドラマばかりを想像してしまいますが、思いっきり脱力系のものもある。この「時効警察」は、犯罪を推理して犯人を捜すんですが、コメディ色が強く、そもそも何のために捜査しているんだかよくわからんというテレビ朝日の異色作。

何しろ、時効になった事件を「趣味として」捜査して犯人を特定しようと言うのですから、かなり変わっている。ただ、そのほんわかした雰囲気がうけたのか、2007年に「帰ってきた時効警察」という続編も作られ、さらに2019年に「時効警察はじめました」という3rd Seasonまで放送されました。

舞台は総武警察署の時効管理課(架空の組織)。熊本課長(岩松了)の下に、又来(ふせりえ)、サネイエ(江口のり子)、そして霧山修一朗(オダギリジョー)という部下がいて、時効になった事件の資料整理・保管を行っています。

霧山は何も趣味がなかったため、時効になった事件の犯人を捜すことに趣味にすると言いだしました。そこへ霧山にちょっと気があり、しょっちゅう時効管理課に顔を出す交通課の三日月しずか(麻生久美子)が、霧山の犯人探しに協力するという一話完結の形式の連続ドラマです。

最終的には、霧山の推理を確定する証拠はもう出てこないわけなので、霧山は犯人と思われる人物に「あとは犯人の協力、つまり自白によって私の推理が正しいのかどうか確定します」と言い出す始末。その上、最後には「このことは誰にも言いません」と書いたカードに印鑑を押して犯人に渡すというのがお決まりとなっています。

元々、ドラマとしては犯人はだいたい想像できるので、倒叙型推理小説(古畑任三郎シリーズみたいなもの)の形式で、何故犯罪が起こったのか、どうして犯罪を隠し通せたか、といったところが焦点になっています。

オダギリ・ジョーというと寡黙で冷徹な役が多い印象ですが、ここではキャッシュレスのCMで演じたとぼけた役柄のまま。今では冷静な上司みたいな役が多い麻生久美子も、まだ20代で若々しい。

三木聡、園子温、岩松了らが脚本と監督を担当し、2nd Seasonからはオダギリ・ジョーも参加して作られています。複数の共作にしては、何ともぬるい笑いは共通していて、何とも言えないほっこりとした世界観がけっこう癖になるドラマになっています。

2024年9月4日水曜日

BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係 (2014)

金城一紀は、小説家であり脚本家で、その作品には深く掘り下げられた背景やキャラクター造形があるため、一筋縄ではいかないすごみがあるのです。メディアで最初に注目されたのは行定勲監督・窪塚洋介主演の「GO (2001)」で、自分の出自に関係した在日韓国人の高校生のやり場のない怒りが描かれました。

そして、一般に優れたストーリー・メーカーと認知されたのが、2007年に始まった「SP 警視庁警備部警護課第四係」のシリーズです。過去に犯罪に巻き込まれたことで、危険を察知する異常な感覚を持つようになった主人公を中心として、国家転覆に及ぶ犯罪にまで至る壮大なストーリーが展開されました。

次に着手し原案・脚本を手掛けたのが、テレビ朝日で放送された「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」です。ここでも主人公の刑事、石川安吾(小栗旬)は特殊能力を持っています。捜査中に頭部に銃撃された石川は、頭蓋内に残った銃弾により、死者と会話ができるようになってしまいます。

殺人事件が起こると、殺された被害者が現れ、石川に無念を晴らしてくれるよう話しかけてくる。石川は、最初は何かの妄想かと思っていましたが、次第に犯人を検挙するために違法な捜査方法にも手を染めていくのです。

石川とコンビを組む立花(青木崇高)、班長の市倉(遠藤憲一)らは、石川の動きを何とかサポートしながら見守るしかありませんでした。男勝りの検視官の比嘉ミカ(波留)は、医学者にもかかわらず石川の特殊な能力も少しずつ理解し、しだいに脳への負担が増大していくことを危惧するのでした。

連続ドラマの最終回は衝撃的です。殺すためだけにこどもを誘拐した安藤(大森南朋)を、殺されたこどもの助けもあって犯人と断定した石川でしたが、どうしても証拠がつかめない。そんな石川に、安藤は平然と「自分は絶対悪で、中途半端な正義をかざす君は勝てない」というのでした。

ここで、初めてタイトルの意味が明示されます。『border (境界)』とは正義と悪の境界であり、いつでもどちら側にでもなれ、実はその差は意外と少ないということ。安藤に勝つためには、その境界を突破して悪の側に行かない限り無理だと悟った石川はついに・・・

その唐突で衝撃的な終わり方は、連続ドラマとしてはあり得ない。何と、ストーリーの完結が図られるのは連続ドラマから3年後。スペシャル・ドラマ「BORDER ~贖罪」として,真の最終回が放送されるという実に手のこんだ仕掛けがありました。

もう、10年前のドラマですから、ぶっちゃけちゃいます・・・あ~、いや、まだ見てない人がいるかもしれないから、ここでネタバレは恨まれるかも・・・

ともかくもスペシャルは、おそらく連続ドラマから続けて収録されたのではないかと思います。とにかくいろいろあって死んだ安藤が、石川のまわりにまとわりついて、「ようこそ、こっちの世界へ」とかなんとか言っているわけで、善と悪の境界で葛藤を続ける石川の導き出す答えや如何に!! というところなんで、絶対全部見ないと損をします。

2024年9月3日火曜日

ビター・ブラッド (2014)

親子の刑事がバディを組むという、コメディ色もあるフジテレビのドラマです。原作はいかにもマンガかと思いきや、雫井脩介による小説。

新米刑事の佐原夏輝(佐藤健)が配属されたのは銀座警察の刑事課捜査第1係。入職式の日に、同期で同僚となる前田瞳(忽那汐里)と共にひったくり犯を捕まえていて、式に遅刻してしまいます。

その上、夏輝の教育係になったのは、偶然にも10年前に母と離婚した父親、島尾明村(渡部篤郎)でした。島尾はジェントルと呼ばれ、身だしなみにうるさく、苦いブラック・コーヒー党。夏輝はブラックは苦手で、当然ことあるごとに「先輩」と呼ぶ父親と衝突するのです。

鍵山課長(高橋克実)以下、稲木(吹越満)、古雅(田中哲司)、富樫(皆川猿時)らの仲間が面白おかしく見守る中、夏輝は少しずつ刑事らしく成長していくのです。

瞳の父親も刑事でしたが、島尾の元相棒だった貝塚(及川光博)に殺されていました。貝塚はすべての失ったのは島尾のせいだと逆恨みし、島尾と夏輝に復讐をするべく、ちゃくちゃくと計画を実行していたのです。

すでに「るろうに剣心」シリーズが始まっていた佐藤健にとっては、アクション・シーンはお手の物というところですが、さすがにテレビ・ドラマですからあまり期待しない方が良さそうです。

一話ごとにある程度一つの事件を解決していくのですが、親子の意地の張り合いみたいなところから来る可笑しさを楽しむべきドラマというところでしょうか。

2024年9月2日月曜日

見えない目撃者 (2019)

韓国映画「ブラインド」を日本でリメイクした作品。中国でもリメイクされており、評価が高かったことがわかります。映像制作で有名なROBOTに所属している森淳一が監督し、「るろうに剣心」などに携わった藤井清美が脚本を担当しました。

警察学校を優秀な成績で卒業したばかりの浜中なつめ(吉岡里帆)は、交通事故を起こし同乗していた弟を死なせてしまい、自分も失明してしまいました。それから3年たち、いまだ精神的に立ち直れない毎日を送っていました。

ある日、盲導犬のパルを連れて歩いていると、そばをスケートボートに乗った人物が通り過ぎ、ちょっと先で走ってきた車と接触してしまいます。なつめが駆けつけると、スケートボードの人物はすでにいなくて、止まっていた車の中から「助けて」という若い女性の声を聞くのでしたが、車は走り去ってしまいます。

なつめは警察に事故があったこと、少女が拉致されていたかもしれないと申し出ます。話を聞いた木村(田口トモロヲ)と吉野(大倉孝二)の二人の刑事は、行方不明者届に該当するような少女がいないことや、なつめが視覚障害者であることから、最初はあまり本気にしませんでした。

また、スケートボードの人物も、高校生の国崎春馬(高杉真宙)と特定できましたが、彼は車の中に少女は見ていないと証言するのです。しかし、木村はなつめの視覚以外の聴覚・嗅覚などが正確であることを知ると、捜査を始めるのでした。また春馬も、なつめの熱意に負けて協力するようになるのです。

なつめと春馬が高校生のSNSなどを利用して情報を集めると、車にいた少女は母親からネグレクトされ、風俗に落ちたレイであることがわかりました。彼女の友人らに話を聞くと、救いのQ様と呼ばれる男が浮かび、何人かが連れ出されているらしい。

しかし、春馬は何者かに車で襲われます。木村らは襲った車の持ち主を特定し住居に向かうと、当人は薬物中毒死しており、敷地内からは4人の少女の惨殺遺体が発見されるのでした。被疑者死亡で幕引きにしようとする警察でしたが、それぞれの遺体からは、耳、鼻、口、手が斬り落とされていたのです。

木村は15年前に起こった猟奇的な事件と酷似していることに気がつきます。なつめも、切り落とされた部位が法華経に由来する六根清浄に関係していると考え、成就するためにはまだ眼と頭が残っていることから、まだ事件は終わっていないと考えるのでした。

発端を目撃したのは、視覚障害により実際に物が見えない女性と、物事に無関心で見ようとしない高校生。被害者たちの周囲も、少女がいてもいなくても気にしない大人ばかりです。その中で、些細な異変から絶対に少女を救い出そうと決意するなつめは、これを解決することで自分の過去と決別し前向きになれると考えているのです。

吉岡里帆は、正直、あまり女優としての認知度が自分の中では高くないのですが、少なくともここではなかなかの好演をしています。過去の重たい出来事を抱え、春馬に死んだ弟を重ねる、その上に目が見えないというたいへん難易度の高い役柄を無難にこなしています。ただ、視覚障害者としてはちょっと甘いところがあるように見えるのはしょうがないところでしょうか。

犯人捜しそのものは主題ではありません。どんどん事件が大きくなっていき、犯人がわかってから、なつめと犯人の対決は展開としては見事。ついつい引き込まれて見入ってしまうスリルがいっぱいです。

2024年9月1日日曜日

桐島、部活やめるってよ (2012)

子役から活躍しすでに相当なキャリアがある神木隆之介でしたが、2010年のTVドラマ「SPEC -警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿」で一般に知られるようになり、そしてこの映画でブレークしました(と、自分の中では思っています)。

監督は「紙の月(2014)」、「騙し絵の牙(2021)」などの吉田大八で、自ら俳優業も兼ねる喜安浩平が監督と共同脚本でクレジットされています。原作は平成生まれ初の直木賞作家である朝井リョウのデヴュー作。

桐島というのは、高校の男子バレーボール部のキャプテンで、学校中の人気者。ある日、突然、桐島が部活を辞めるという話が持ち上がるのです。噂は広がり、周囲の友人たちには動揺が広がるのです。

この映画の興味深いところは、原作にならって桐島本人は登場しないということ。ある意味、タイトルにもなっている桐島は、どこにでもありそうな微妙なバランスの上に成り立っていた高校生活に小さな波紋を投げかけるきっかけにすぎない。その波紋がどんどん大きくなる様子を、青春群像劇として描いています。

また、映画の作りとしては、それぞれの主要登場人物の視点で、同じ出来事を繰り返し見ることで、多くの主観が入り乱れるところが面白い。同じ出来事に遭遇しても、人によって感じ方が違うわけで、映画の受け手はむしろその出来事を客観的に感じられるのです。

映画部の前田 涼也(神木隆之介)はあまり目立たない存在ですが、学生映画賞を受賞し、自ら生徒会をドキュメントする映画を製作します。

野球部の菊池宏樹(東出昌大)は、桐島の親友ですが部活を辞めることは相談されていませんでした。野球部も含めて、何事にも真剣になれず不完全燃焼の毎日を送っています。

野崎沙奈(松岡茉優)は、ぱっと見目立つ顔立ちで宏樹の彼女。それらのことを十分自覚していて、やや上から目線な態度が目立ちます。

飯田梨沙(山本美月)は、桐島の彼女で真面目な美人。彼女も桐島のことを知らされておらず、傷ついてしまいます。

バドミントン部の東原かすみ(橋本愛)は、しっかり者でともだち付き合いが上手。同じ部活の宮部実果(清水くるみ)と仲が良い。

それぞれが、他人との関係を持ちそれなりに悩むのが「青春時代」であるなら、いかにもありそうなエピソードが連鎖反応して、学生間の暗黙のヒエラルヒーを超えて熱を帯びていくことで、一定の解決を提示していくというのが、この映画のテーマにあるように思います。

人気者の頂点がくずれることで、人気者グルーブが崩れ、そこに関わる者たちが行き場を失う。それまで無視されていたグループはそんな影響は受けず、自分たちがやりたいことを続ける。立場が逆転し、弱者が強者に自分を気づかせるきっかけになることも起こり得るということを教えてくれます。