2021年5月5日水曜日

T-34 (2019)

ものはついで、と言ったら怒られますが、第二次世界大戦を題材とした最新の戦車映画がこれ。しかも、ロシア製、熱血戦争エンターテイメント作品という趣です。同様なアメリカのエンタメ作品としては、ブラッド・ピット主演の「フューリー(2014)」というのもあります。

どうも、実録物ばかり見ていると、どうも気が重くなってくるところは否定できません。その点、これは実話が基になっているとはいえ、ほぼフィクションの戦車アクションを単純に楽しむものということで気楽です。

当初、日本劇場公開版は113分で、ロシアお得意のボイスオーバーという形式のもの。ボイスオーバーは、同時通訳みたいなもので、はっきり言って聞き苦しい。その後139分のダイナミック完全版というのがあって、さらに191分の最強ディレクターズ・カット版が登場しました。ディレクターズ・カット版のBDは、ボイスオーバーは収録されていないし、長いのですがほぼだれることなく楽しめます。

監督はアレクセイ・シドロフ・・・って言っても聞いたことはない。主役のニコライ・イヴシュキンを演じるのはアレクサンドル・ペトロフ・・・ってこれも知りません。ヒロインのアーニャを演じるイリーナ・スタルシェンバウムも知らないけれど、なかなか清楚な感じの美人です。

T-34は第二次世界大戦で活躍したソビエト連邦の最強と言われた戦車。戦争初期には、ドイツの戦車の砲弾を弾くくらい装甲がしっかりしていて、数々の戦場で大活躍してきました。この戦車をテーマにした映画は他にもあって、特に「鬼戦車T-34(1965)」は、同じエピソードを使っていて内容は酷似しているらしい。

1941年、ドイツがソビエトに侵攻を開始し、ソビエト軍は撤退を余儀なくされます。部隊が駐屯していた村にイェーガー率いる6台の戦車隊が進撃。イヴシュキンは、たった1台のT-34戦車で、撤退する時間を稼ぐため立ち向かい撃破。しかし、負傷して捕虜となり収容所送りとなるのでした。

時は流れ、1944年、イェーガーは新たな戦車隊将校育成のため、回収したT-34を捕虜に運転させ演習の相手にすることにします。そこで目を付けたのが、かつて苦汁をなめさせられたイヴシュキンでした。条件は弾薬は無し、逃げ延びても死ぬまで何度も演習を繰り返すというもの。

承知しないイヴシュキンに、イェーガーは通訳をさせられていたアーニャに拳銃を向け返事をしなければ殺すと脅かします。アーニャに運命的なものを感じたイヴシュキンは、練習台になることを承知し、かつての仲間ステパン、ヴォルチョク、セラフィムをチームに選抜します。そして、あてがわれたT-34には、何と乗員の遺体とともに数発の弾薬が残されていたので、遺体と共に持ち出して遺体の埋葬と共に隠しました。

演習当日、いきなり実弾でドイツ軍戦車を破壊したイヴシュキンらは、あわてふためくドイツ軍を尻目に、イェーガーの部屋から地図を盗み出したアーニャを拾ってチェコスロパキアに向けて逃亡するのでした。しかし、イェーガーは行き先を読んで、4台の戦車隊と共に待ち構えついに対決の時が来るのです。

と、まぁ、よくできたストーリー。少しだけイヴシュキンとアーニャのロマンスもあって、良いアクセントになっています。全編にわたって、砲弾が飛び交うシーンはストップ・モーションのようなCGが多用され、そこまでしなくてもというところはありますが、かなり工夫のある画面構成で、映画としての質もなかなかのものでした。

ちなみに、最強ディレクターズ・カット版のBDは、自分にとってはどうでもいいオマケのせいで、DVDのトールケース仕様なのが残念なところでした。