2021年8月1日日曜日

トランス・ワールド (2011)

これもあえて分類すると、時空を超えた出会いがテーマなのでSF映画の範疇に入ります。そして、やはりアイデア一発勝負で、限られた人数(ほぼ3人、全部だと8人)で、ほとんど山小屋と周囲の雑木林だけで撮影された低予算映画。監督はジャック・ヘラーという人ですが、ほとんど情報が無い。

それでも、脚本が良いいうことだと思いますが、少しずつ不思議が溜まっていって、タイム・ワープという不思議現象を利用して、その謎が解明していく流れは自然です。大作感はありませんが、なかなか良く出来た作品です。ちなみに原題は「Enter Nowhere」で、「トランス・ワールド」はまったくの邦題。

冒頭、一組のジョディとケヴィンのアベックが店に拳銃強盗に入り、店主に「金庫の中の物は気に入らないよ」と言われ、ジョディは引き金を引いてしまう。一転して、夫のアダムと共にドライブ中のサマンサは、ガス欠になったためアダムが助けを探して車を離れて戻ってこないため、林の中を歩いていると小屋をみつけました。

小屋にはトムという青年が先にいて、彼もまた車が故障したためにこの小屋で3日間雨露をしのいでいたのです。翌朝、小屋にたどり着いたのはジョディでした。彼らは、小屋を出ても意図せず再び小屋の前に戻ってしまい、どうにもこの場から離れることができません。

話をしてみると、3人ともまったく別々の場所からここに来たことがわかり、さらに今は、サマンサは1962年、ジョディは1984年、そしてトムは2011年だと言うのでした。そして、近くに防空壕を発見し、この場所を示すポーランドの地図を発見します。

夜、銃を持ったドイツ兵のハンスが現れ、三人は拘束されます。ハンスは、サマンサとジョディが持っていたペンダントが自分のものと同じだったため取り乱しました。そして、ハンスはサマンサの父で「今日」この近くで空爆によって死ぬことになっていることがわかる。サマンサは娘を産むと同時に死んでしまい、その娘がジョディであること、ジョディは強盗殺人で死刑になる前に刑務所でトムを産むことがわかりました。

彼らは、自分たちの不幸な運命を変えるために、ハンスを死なせないようにするしかないと考えますが、それは逆に自分たちの未来の存在を消してしまうことになるかもしれないのです・・・

トムがなかなかのイケメンで、なんか見たことがある顔だなぁと思っていて、途中でクリント・イーストウッドの若いころにそっくりだと気が付きました。あれ、そういえば、この俳優さんの名前は・・・スコット・イーストウッド、息子じゃないですか。そりゃ、似てるはずだ。

サマンサ役はキャサリン・ウォーターストン。ポール・トーマス・アンダーソン監督の「インヒアレント・ヴァイス」で有名になり、最近は「ファンタスティック・ビースト」、「エイリアン・コヴェナント」にも出演。ジョディ役はサラ・パクストンで、ほぼB級要員。

最終的に全員が集まるのは1940年頃のポーランド、異なる未来から集まってきた父であり、祖父であり、そして曾祖父を助けようとする。「ターミネーター」でも、自分の祖先を助けますが、その結果はいろいろ。未来が変わってしまうのか、そのことを含めて時間が進んでいくのか、考えだすとこんがらがってしまうこと請け合いです。

この映画では、あまり小難しいことは抜きにして、それなりのハッピーエンド的なまとめ方をしています。それが本当なのかは時間旅行ができないうちはわからないのですが、少なくとも見終わって嫌な気持ちにはならずにすみます。