1899年の大晦日、発明家のジョージ(ロッド・テイラー)は友人4人を招き、タイムマシンの発明に成功したことをミニチュアで見せますが、誰もトリックだと信じません。何故そこまで時間にこだわるのかと尋ねられ、ジョージは今の現実の世界が嫌で未来に希望を持っていると説明するのでした。
彼らを1月5日にあらためて夕食に招待しますが、時間を過ぎて現れたのはケガをして服はボロボロ、疲れ果てた様子のジョージでした。彼は、人が乗れるサイズのタイムマシンで時間旅行をして見てきたことを話し始めます。
時代を進んでいくと、第一次世界大戦があり、第二次世界大戦では空襲を受け、そして60年代には核戦争が勃発していました。核兵器の爆発を避けるため、スイッチを急いで操作したため、ジョージはいっきに80万年後に移動します。
そこは、若い男女が楽しく野原で過ごす楽園のような場所でしたが、実は最終的に世界の文明を滅ぼす戦争の結果、地下に生き延びたモーロックが、地上に残ったイーロイを家畜として飼育している世界でした。タイムマシンはモーロックに奪われ、収穫されたイーロイの美しい娘、ウィーナ(イヴェット・ミミュー)を助けるために、ジョージはモーロックの地下世界に向かいます。
モーロックを撃退しウィーナを助け出しましたが、ジョージはモーロックの残党に襲われそうになりマシンを始動し現代に戻ってきたのです。ジョージは話し終わって、未来でも友情を持ち続けてくれていたフィルビー(アラン・ヤング)にお別れを言います。不審に思ったフィルビーが戻ると、ジョージとマシンは消えていました。
登場するタイムマシンはいかにも19世紀然としていて、骨董品のようです。しかし、(映画が作られた時代からしても)変にモダンな機械ではないところがロマンを感じます。自分の時代に希望を持てずに未来を目指した主人公は、必ずしもより美しい未来を見つけることはできていません。
それでもウィーナと、彼女の時代を良くしていくことを選択する結末・・・のようですが、原作ではウィーナは死んでしまい、ジョージも時の流れの中に消えてしまう。本来は、戦争に向かう人類を非難し、弱肉強食の社会に警笛を鳴らすことがウェルズの本心だったのかもしれません。
映画としては、当然特殊撮影は今の目からは幼稚ですが、街の風景、天体の動きなどを様々な撮影法を導入し、怪獣映画ではお馴染みのミニチュアの爆破シーンなどを混ぜて、当時としてはそれなりに頑張っている感じです。
小学生の頃にテレビで見てすごいと思ってい以来ですが、古典的SF映画として十分に今も通用する傑作だと思いました。ちなみに、舞台となる802701年というのは、これまでに映画の中で描かれた時代としては最も遠い未来です。2002年にウェルズの孫が監督してリメイク作が作られていますが、さらに原作からは脚色された内容のようです。
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2021年8月3日火曜日
タイム・マシン 80万年後の世界へ (1960)
H.G.ウェルズ原作古典SF小説、「タイム・マシン」が書かれたのは1895年のこと。ウェルズにとっては最初の長編小説であり、近代SFの元祖みたいな話。これを「宇宙戦争(1953)」などの50年代SF映画の巨匠、ジョージ・パルが、映画的アクション部分を膨らませて映画化しました。