日本発祥の「怪獣」をハリウッドが映画にしたらこうなった!! っていう感じで、難しい映画もいいですが、単純にワクワク・ドキドキするかっこいい映画も悪くない。次から次に襲って来る怪獣に、人類はパイロット搭乗の巨大ロボット - それは、ほとんど進化したガンダム - で対抗するというお話。監督は今やハリウッドで押しも押されぬヒット・メイカーとなったギレルモ・デル・トロ。彼のジャパニーズ・カルチャー愛が炸裂しています。
太平洋の海溝の奥に裂け目ができて、そこから怪獣が現れるという事態に、世界のいくつもの都市が壊滅する騒ぎになります。最初は成す術もなかった人類ですが、国やイデオロギーを超えて協力し、人間がパイロットとして搭乗する巨大ロボット、イェーガーを使って徐々に挽回し始めました。
第一世代のイェーガーは一人乗りの形態でしたが、神経回路と精神的に同期するドリフトによって操作するためパイロットへの負担が大きすぎるため、第二世代以降は二人で操縦するように設計が変更されました。ある日、ローリー・ベケット(チャーリー・ハナム)は兄と二人でイェーガーで怪獣に立ち向かい、何とか倒したものの兄を失います。精神がつながった状態での兄の死は、ローリーに大きなトラウマになりました。
怪獣が進化してより強大になりイェーガーが劣勢になってきたため、巨大な防護壁の建設に力を入れることになりイェーガー計画は中止。ペントコスト司令官(イドリス・エルバ)は、香港に集められた残ったイェーガーを整備し、来るべき戦いに向けて準備していました。ペントコストは第一世代イェーガー乗りで、その原動力である原子炉の影響で被爆し重病に侵されています。
ペントコストの信頼する優秀な部下の一人で、東京の戦いでペントコストに助けられた森マコ(菊地凛子、幼少期: 芦田愛菜)は、ローリーと組んでイェーガーに搭乗しますが、訓練で怪獣に襲われた過去の記憶のトラウマから暴走してしまいます。しかし、香港に2体同時に怪獣が出現し、他のイェーガーの危機にローリーとマコのペアが活躍し仲間からも信頼を勝ち得るのでした。
怪獣が出現する頻度が早くなり、しかも複数体が同時に出現するため、最終決戦の作戦が始まります。ペントコスト自ら搭乗したイェーガーは搭載した核兵器によって裂け目を破壊しようという計画でしたが、待ち構えていた数匹の怪獣によって自ら自爆するのです。残されたローリーは裂け目に飛び込み、自分たちのイェーガーの動力源である原子炉をメルトタウンさせようとするのでした!!
そりゃ、まぁ、突っ込み所はたくさんあるとは思います。何しろ、ロボットの操縦もそんなに難しい方法を取らなくてもリモート・コントロールでいいんじゃないかから始まって、核兵器だってミサイルがたくさんあるだろうにとか・・・
でも、人間が中で操縦するからドラマになって面白いわけですし、二人のパイロットが精神をリンクさせるところにストーリーのふくらみがるので日本人の感覚としては良しとします。何しろ、主役のイェーガーを操縦する一人が菊地凛子さんですから、それだけでもかなり評価の点数は高くなります。ところどころに、日本語の台詞が混ざるのも何か楽しい。
映画タイトルが出るまでの導入部は16分半もあって、この話の基本的な設定がしっかり説明され、かつ出し惜しみすることなく怪獣対イェーガーの戦闘も描かれれているので、このマンガ的な話にすっと入っていける効果があります。また、何故怪獣が襲って来るのかという理由についてもそれなりの説明がなされていて大変良心的です。